鶴 ノンエイジ(終売品) 後期(級別制度廃止後)
鶴
最低熟成年数:不明
容量:750ml
アルコール度数:43%
種別:ブレンデッドウイスキー
地域:日本
発売元:ニッカウヰスキー
【香り】
強く広がらないものの、グラスに鼻を近づけていくと多様さを感じる。刺激はほとんど感じられず心地よい。全体的にシロップ漬けフルーツのように、甘やかな香りをまとっている。系統としては、オレンジピールのような印象を受ける。
グラスに注いで少し時間が経ってから深く吸い込むと、芳醇さのなかに穀物のような香りも感じられる。
【味わい】
ストレートでも飲み口は非常に柔らかく滑らか。アタックも強くないため、一瞬水っぽいという印象も受けたが、すぐに味わいが盛り上がってくる。この点は非常に興味深かった。
味わいは豊かで、程よい渋みを感じる。オンザロックで飲むとウッディさを強く感じたため、好みが分かれると感じた。ただ、私には飲みやすく、するすると飲めたため、少し飲み過ぎてしまった。
余韻は長く深い。円やかだがしっかりとしたピートを感じる。少しビターで、その中にスパイシーさも淡く感じられた。
【もう少し詳しく】
皆様、明けましておめでとうございます!2019年がスタートしましたね。本年も宜しくお願い申し上げます。
平成最後の年末年始を、皆様、どのように過ごされましたか?
のんびり過ごされた方、お仕事をされていた方、ご実家に帰省された方、オンラインゲーム内で過ごされた方、ライブや遊園地などを満喫された方……きっと、様々だったと思います。
私はと言えば、図書館をハシゴして借りてきた本を読んで過ごしていました。
それと、久しぶりに漫画も引っ張り出して読んでいました。色々読んだのですが、やっぱり年末年始は楽しい雰囲気が良いので『よつばと!』が気に入りました。
かなり前からある漫画なので、ご存知の方も多いかとは思いますが「ダンボー」が出てくる漫画です。
明るい気持ちで読める漫画ですが、時々、考えさせられるシーンやちょっと切なくなるシーンも出てきて面白いです。試し読みができるサイトもあるので、気になる方は是非どうぞ。
さて、鶴に話を戻します。
今年最初のまとめに鶴を選んだのは、やっぱり日本のウイスキーがいいなあと思ったことと、おめでたい雰囲気のウイスキーを開栓したいなあと思ったからです。 鶴は千年と言っておめでたい生き物ですしね。
ボトルに描かれたレリーフは、竹鶴家に伝わる「竹林に遊ぶ鶴」という屏風絵がモチーフなのだとか。*2
発売されたのは1976年10月。選りすぐりのモルト原酒をふんだんに使ったフラッグシップ商品としての登場で、販売価格も15,000円と当時としては、かなり高価な部類でした。*3
具体的に、どういう原酒を使っているのかな?と調べたところ、こういう記述を見つけました。
この年代については、ニッカさんに色々な動きがありました。1968年に仙台工場(現:宮城峡工場)が着工、1969年に完成しました。
その後、創立40周年の1974年に「キングスランド」と「スペシャルエイジ」が発売され、1980年に「フォーチュン'80」、1983年に「マイルド・ニッカ」が発売されました。
全体的に非常にスムースで、それでいてコクもあり「うまい!もう一杯!」みたいな感じで、するする飲めます。というか、飲んでしまいました。特にオンザロックは、いくらでも飲めてしまうような底なし沼です。
ちょっと気になったのでフロム・ザ・バレル(FTB)も引っ張り出してきて飲んだんですが、円やかさでは残念ながら鶴のほうに軍配があがりました。
私は、初めてウイスキーを飲む方はブレンデッドウイスキーの方を試された方が良いと思っています。今回の鶴は、そういう意味でも非常に良いウイスキーですね。
フロム・ザ・バレルファンとしては忸怩たる思いですが、価格の差もありますし、こればかりはどうしようもありません。美味しいです、鶴。
ちなみに、フロム・ザ・バレルの名誉のために書いておくと、安くて美味しいウイスキーなんです。ただ、数倍もの価格差に加えてFTBは度数も高いので、ちょっと人を選ぶかもしれません。
その点、鶴は絶妙なバランスを保っていて、まさに贈答品にぴったりなブレンデッドウイスキーだと感じました。
なお、フロム・ザ・バレルの発売は1985年のことで、ここまで全て、ウイスキー級別制度が存在していた時代の話です。
実は、私が鶴を飲むのは今回が初めてです。気に入った飲み方はオンザロックですね。しつこいようですが、いくらでも飲めてしまいそうです。
ハイボールも悪くないのでしょうが、ちょっと没個性的になってしまうかもしれません。オンザロックでも飲みにくいよ!という方は、水割りでも良いのかもしれませんね。
オンザロックについては、丸い氷を入れて「竹林に遊ぶ鶴と満月」みたいに洒落てみるのも、乙なものでしょうね。今回は市販の氷でしたが、機会があればオーダーしてみたいと思います。
なお、磁器製の鶴は贈答品という側面もあったため、コルク部分も重厚なつくりで凝っています。ただ、注ぐときはコルクを抜くので、ちょっと間が抜けている感じになってしまいますが……まあ、それもご愛敬というものでしょうね。
【鶴の変遷と現在】
さて、今回はタイトルに「後期(級別制度廃止後)」と入れました。では、前期と後期の分かれ目はいつなのか?と言うと、私は1989年の級別制度廃止だと考えます。
ボトルを見ると、ネック部分に「ウイスキー特級」と書かれているか、書かれていないかで前期と後期に分かれると考えます。
今回のボトルは単に「ウイスキー」だけでした。
ちなみに、特級については自分なりにまとめたことがあります。ちょっと更新したい箇所もあるのですが、ひとまずリンクを貼らせていただきます。
なお、2006年に17年表記となった鶴は、マッサンブームを経た2015年に一般販売が終了しました。*6
一時期はオークションなどで送料込み3000円ちょっとで買えましたが、今となっては夢のまた夢ですね。
鶴については、実質的に「ザ・ニッカ12年」が後を継いだ形になりました。ただ、風のうわさでは、その「ザ・ニッカ」もノンエイジになるとかならないとか。
私のような地方在住の身では確かめるすべもありませんが、どうなるのでしょうね。
【最後に】
今年もこんな感じでボチボチ書いていくつもりです。更新ペースとしては、1週間に1回程度が限界かなあと感じています。
と言うのも、毎日飲むと肝臓に負担がかかるし、何より開栓したボトルもちゃんと飲まないと風味が飛んじゃいます。
そんなわけで、のんびりとした更新頻度になるかとは思いますが、皆様、どうか今年もよろしくお願いします。
【参考および引用資料】
『知識ゼロからのシングル・モルト&ウイスキー入門』 著:古谷三敏 出版:幻冬舎
シングルモルト&ウイスキー大辞典 監修:肥土伊知郎 出版:ナツメ社
世界の名酒事典 ('82~'83年度版) 出版:講談社