「酒税証紙」について
ウイスキー特級と従価について調べていくと、どうしても「酒税証紙」に触れざるをえませんでした。
ただし、私は酒税証紙が貼られたウイスキーを飲んだ経験が少ないので、あまり多くは触れられません。できれば、オールドボトルを多く飲まれている方の情報も参照なさってください。
では、簡潔に事実だけをまとめていきます。
「酒税証紙」制度
酒税証紙は酒税の支払いを証明したものです。つまり、酒税証紙が貼ってあると「ちゃんと税金を払っているよ」と判断できたわけですね。
また、ビンの開栓口を封印するように証紙を貼り付けていたので、開栓すると自動的に紙が破れることになります。そのため、未開栓かどうかの判断にもなりました。
もっとも、現在ではボロボロになっているボトルも多いです。国税庁のページには保管状態の良い写真もあるので、こちらも参照されることをお勧めします。
国税庁 税務大学校租税資料
「4. 戦後の酒と酒税」
https://www.nta.go.jp/ntc/sozei/tokubetsu/h22shiryoukan/05.htm
デザインのモデルについて
酒税証紙は、1953年3月1日に様式が制定されましたが、モデルがあったとも言われています。それが、1947年に発行された「特別価格酒証紙」というものです。
終戦直後に酒類が配給制だった時代に、特別価格で販売を許可された酒類に張り付けてあったそうです。
詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。PDFファイルですが、カラーのパンフレットで、ウイスキー以外にも日本酒などの情報も得られるのでオススメです。
独立行政法人 国立印刷局 お札と切手の博物館
「平成28年度特別展 印紙・証紙―小さなグラフィック・デザインの世界」http://www.npb.go.jp/ja/museum/tenji/kako/pdf/h28_inshi-shoshi_booklet.pdf
1953年から1974年までの制度
酒税証紙制度は、1953年に酒税法で制定されました。その適用も1974年に廃止されました。したがって、酒税証紙が貼られているボトルは、巧妙な偽物でもない限り、1974年までのボトルであると確定できます。
デザインについて
初期の様式には「酒税証紙」と印刷されていました。その後、1956年4月1日からは、下の写真のように「LIQUOR TAX CERTIFICATE」と印刷された様式が新たに追加されました。
旧様式は、1962年3月31日に廃止されましたが、廃止の時点で輸入業者が保有する旧様式の酒税証紙を引き続き使用することも認められていたとのことです。
ちなみに、容器の大きさに合わせて、様々な大きさの証紙が発行されました。確かに、フルボトルに貼る証紙をベビーボトルに貼ったらはみ出てしまいますよね。
1972年沖縄返還について
この制度が廃止される前の1972年に沖縄が本土に復帰しました。これにともない、1972年から1977年までは、沖縄用の酒税証紙が、「沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する省令」において制定されていました。
沖縄用の酒税証紙も国税庁のサイトにあるので、気になる方は是非ご覧ください。
おわりに
酒税証紙は、上記の期間に税関を通過した輸入ウイスキーには、全て貼られていることになります。したがって、輸入時期を特定するうえで大きなヒントになることがわかりました。
よければ参考にしてください。