琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

コルク栓を折らないために【追記あり】

 まずは、こちらの写真をご覧ください。このような経験がある方はいらっしゃいませんか?

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 本来、コルク栓は丈夫なものです。日光や乾燥にも強く、伸び縮みもするし密閉性も高いです。普及している多くは「笠付きコルク栓」で、手軽に開けられます。

 しかし、オールドボトルにありがちかもしれませんが、コルクが折れることがあります。もげて砕けて割れて散ることがあります。

【2018年2月10日追記あり】-------------------------------------------------------------------------------

 私も何度か経験があり、何とかならないかと調べていたところに、ウイスキーのレビューを中心に情報を発信されている「くりりん」さんの記事に目が留まりました。そして、読んでみて「あ、これだ!」と試してみようと思った次第です。

whiskywarehouse.blog.jp

 私の記事は、上記方法の追試と考えを許可を頂いた上で、まとめたものとなります。
結論としては、オールドボトルの開栓で失敗し、かつての私のように半泣きになりながら茶こしを使うことになるなら、ぜひこの方法を試していただきたいと思います。そして、心穏やかにウイスキーを味わっていただければと思います。

 twitterで「ウイスキー コルク 折れた」と調べると、悲しい画像がたくさん表示されます。そんな悲しい画像を少しでも減らしたいと思っています。

【2018年2月10日追記おわり】----------------------------------------------------------------------------

折れるコルクの傾向と対策

 「コルクが折れた」と言っても、そのパターンは様々だと思います。私は、以下のようなパターンを経験しています。

  1. コルクが劣化していて、ボロボロと崩壊した。
  2. 回しながら抜こうとしたが、コルクがもげた。
  3. 笠付きコルクの笠が外れて、コルクだけが刺さった状態で残った。

 webサイトやSNSを見た限りでは、多いパターンは「2.回しながら抜こうとしたが、コルクがもげた。」という印象です。

とあるウイスキーの抜栓記録

今回は、うまくいったパターンを一つご紹介します。

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John walker’s Oldest
Scotch Whisky (Aged 15 to 60 Years)

 発売されたのは80年代なかごろなので、30年近く前のボトルです。パッと見た様子は、状態も悪くないし、栓の部分もきれいですよね。

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 でも、こうした古酒は、見た目がきれいでもコルクの状態は良くないことが多いです。今回も「コルクの状態は良くないだろう」と疑って開栓することにしました。

 ちなみに、1992年にアメリカで「鉛・水銀・カドミウム・クロム」の4種類の重金属を包装材に使用することが禁止されましたが、(「(RAMONDIN社は、世界ナンバーワンの錫キャップシールメーカーです。」ASTECH RAMONDIN))どうも、これ以前のボトルはキャップ周りが傷んでいることがあります。そして、結果から言うと、今回も案の定こんな感じでした……。

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そういうわけで、動揺しながらも頑張ることにしました。

①温めて体積を増やした。

 このボトルを開栓した日は、最高気温が10度未満でファンヒーターを使っていても寒い日でした。

 そこで、まずはボトルを温めることにしました。ジャム瓶のフタが開かない時に温めますよね。体積は温めると膨張し、冷めると収縮するという原理を使います。ちなみにジャム瓶の場合はは体積を増やしつつ、スクリューキャップの金属を膨張させるという意味があるようです。小学校でも金属を温める実験がありますね。
 ただし、湯煎したり火であぶったりはしません。

 まずは、下準備です。

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 ……すみません、何かわかりませんよね。濡れタオルを電子レンジで温めています。


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 そして、ヒーターの前にボトルを置き、風が直接当たらないように数分間だけ温めました。このとき、レンジで温めたタオルをコルク回りにかぶせてネック周りを温めました。

  また、樽の成分とか当分が原因でコルクとボトルが癒着していることも多いので、温めることで癒着が弱まるかな?と思った次第です。

②ボトル内に空気を入れた。

 長期保存したウイスキーを久しぶりに飲む際に、「ぷしゅっ」という音が聞こえるときがあります。 ワインがお好きな方であれば、「バキュバン」などで瓶内を真空にすることもあるでしょう。そして、飲むときに栓を押すと、「ぶしゅー」と勢いよく空気がボトル内に入っていきますよね。あのイメージです。

 この場合は、コルクを引っ張るときに微妙な手ごたえを感じることがあります。登山が好きな方はピンとくるかもしれません。気圧差ですね。

d.hatena.ne.jp

 コルクは密閉性が高いせいか、ボトル内の気圧が低くなりやすいです。そのため内側へ入ろうとする力が働きよけいにコルクがボトルに密着することになります。そのため、内圧を外圧に近づけることで、コルクが抜けやすくなるようにします。

 そのためには、コルクを回さずに左右にずらす、あるいは揺らすことが大切かなと思いました。別のボトルで説明します。

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 ゆっくり慎重にコルクをずらしていくと、動かすたびに「ぷしゅ」「ぷしゅ」と少しずつ空気が入っていきました。

③コルクは回さず、揺らして上げた。

 さて、ボトルを温めて、内圧を高めました。コルクがボトルに密着している可能性は減ったはずです。しかし、絶対にゼロとは言えません。ここでひねると、もげるかもしれないと思いました。そこで、コルクにかかる力が、できる限り上向きになるように気を付けて抜き始めました。

 といっても難しいことではなく、③で青い矢印を使って書いた力の向きを、斜め上に変更しただけです。

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すると……。

すぽん、と抜けました!

 驚くほど、すぽんと抜けました。本当にあっさりと抜けました。そして、やはりコルクの状態の悪さは見ての通りです。再利用しようとは思えない状態でした。

 特に、笠付きコルクの根元部分はかなり傷んでいたので 下準備なしに抜こうとしていたら、たぶんコルクがもげていたと思います。

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 早速、用意してあった予備のコルクを挿して冷暗所で保管することにしました。

【2018年7月14日追記

このとき開けたジョンウォーカーを記事にまとめました。

amberlover.hatenablog.jp

【2018年4月1日追記

古酒でなくても、シェリー系のボトルはコルクが貼りつききやすいようですね。
他のボトルでも試してうまくいったので、リンクを貼っておきます。

amberlover.hatenablog.jp

追記終わり】

おわりに ~それでもダメなときはダメらしい~

 オールドボトルをよく飲まれている方々のブログを見ていると、こんなものは序の口らしいです。こんな感じでしょうか……?

 

::::::::        ┌─────────────── ┐
::::::::        |   傷んだコルクが抜かれたようだな… │
:::::   ┌───└───────────v───┬┘
:::::   | フフフ…奴はコルク折れの中では最弱
┌──└────────v──┬───────┘
| あっさり抜けるとは         │
| コルク折れの面汚しよ…          │
└────v─────────┘
  |ミ,  /  `ヽ /!    ,.──、
  |彡/二Oニニ|ノ    /三三三!,       |!
  `,' \、、_,|/-ャ    ト `=j r=レ     /ミ !彡      ●
T 爪| / / ̄|/´__,ャ  |`三三‐/     |`=、|,='|    _(_
/人 ヽ ミ='/|`:::::::/イ__ ト`ー く__,-,  、 _!_ /   ( ゚ω゚ )
/  `ー─'" |_,.イ、 | |/、   Y  /| | | j / ミ`┴'彡\ '    `
  痩せコルク        崩壊コルク  u   笠はずれコルク

 

 そもそも、これだけやっても折れる時は折れるし崩れる時は崩れるらしいです。ですので、「おい、同じことやってもダメだったぞ!」という場合は、申し訳ないです。ただ、この記事が、少しでもお役に立てたら嬉しいですね。

 では、お互いに心穏やかなウイスキーライフを送れますように願っております。

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