オールモルト ニッカ 2004年~2005年発売品(終売品)
NIKKA WHISKY
All Malt
アルコール度数:40%
容量:700ml
カテゴリ:ブレンデッドウイスキー(ただし原料はモルトのみ)
地域:ジャパニーズ
【香り】
ややメンソールのような清涼感がある。そのため、人によっては「刺激が強い」と感じるかもしれない。ただ、麦芽や蜂蜜、砂糖菓子といった香りもあるので全体的には甘やかな香りが強いように感じる。なお、奥にかすかなピートも感じられる。
【味わい】
アタックは度数相応。少しまろやかとも言えるだろう。甘い香りも相まって非常に飲みやすい。酸味や渋みは渋みはほとんど感じず、しっかりとした甘みを感じる。余韻は比較的長めで、麦とピートの組み合わせを実感できる。
【もう少し詳しく】
フロムザバレル、ピュアモルトブラック、レッドと買っていった私は、「ニッカという会社のウイスキーは美味しい」と認識し始めました。
そこで、手を伸ばしたのが今回の「オールモルト」です。昔は「オールモルト派」vs「モルトクラブ派」みたいな意見もありましたが、私はオールモルトの方が好みでした。
この「オールモルト」は、その名の通り原料が大麦100%です。表ラベルを見ると「ポットスチルとパテントスチルで蒸溜した2種類のモルトウイスキーをブレンドしました」と書かれています。
パテントスチルは1831年に特許を取得したイーニアスコフィーの連続式蒸留器で、最近では「カフェスチル」という呼び名の方がメジャーになってきている印象を受けます。
なお、「伊達」をまとめた際に間違えてしまいましたが、カフェスチルで蒸留したウイスキーは、たとえ原料が大麦であってもカテゴリとしては「グレーン」となります。
「オールモルト」という表記について
この「オールモルト」という表現について、ニッカさんは一時期こだわっていた印象を持っています。特に2000年代前半ごろでしょうか。
例として、「Malt 100 Whisky The ANNIVERSARY」を挙げます。
これは、2004年にニッカ創業70周年を記念して作られたウイスキーで、やはり裏ラベルに「オールモルト製法」という表記が見られます。
ニッカさんが今でも「カフェモルト」を販売していますね。その理由の一つにそもそも竹鶴政孝さんがカフェ式スチルにこだわりを持っていたということです。*1
オールモルトウイスキーについて
今回の「オールモルト」というウイスキーは1990年に発売されました。初代はラベルの文字がゴシック体で、度数も43%でした。
パジャマ姿の石田ゆり子さんの「女房酔わせてどうするつもり?」という意味深なセリフのCMが話題を呼んだそうです。と言っても、1990年の私は、バッタやカマキリにセクシーさを感じていたのでCMの記憶はございません。
今回のボトルは、そのときのものではなく、1997年にラベルチェンジが行われた後のものです。度数も40%になりました。裏ラベルに色々と書かれています。
このうち「おすすめの飲み方:水割り」という部分だけは、今でもちょっと違うんじゃない?と思っています。おそらく飲みやすさを追求した結果として「水割りなら飲みやすいよね?」という結論に至ったのかもしれません。
ただ、柔らかいウイスキーなのでストレートで飲みたいです。加水というならば、オンザロックを楽しむ程度で良い気がしますね。
さて、今回のボトルの発売時期を2004年から2005年からと限定したのは、2つの理由があります。
1つはキャップに70周年のシールが貼ってあることで、もう1つは2005年に2回目のラベルチェンジが行われたことからです。
変更点は、以下の通りです。
「ニュー・オールモルト」は金色のラベルに“pure & rich”の味覚キーワードを(中略)配すことで、モルト100%ブランドの統一感を高めたものとなっています
なお、このプレスリリースには
ウイスキー市場は長期にわたって低迷する一方で、“シングルモルト”や“ピュアモルト”といったモルトウイスキーが注目を集めています。
という一文も含まれており、「ああ、大変だったんだなあ……」と切なくなります。
では、次に進みます。3回目のラベルチェンジが行われたのは2011年ですね。
『オールモルト』は、長期熟成モルトをブレンドし豊かな香りと芳醇な味わいが特長です。深みのあるゴールドのラベルで上質さを表現しました。味の特長として商品名と共に「pure&rich」と記載しました。
そして、マッサンブームに乗ってウイスキーが大いに売れるようになり、2015年に終売になってしまいました。個人的には非常に残念です。ただ、こんなに美味しいウイスキーを2000円ぐらいで販売してくれたニッカさんには、本当に頭が下がる思いです。
その一方で、これからウイスキーを飲まれる方には、ちょっと辛いシーズンであるとも言えるでしょう。なんとも悩ましい話ですよね。