麦の品種について(〇〇バーレイなど)
はじめに
ウイスキーの味覚は、樽の影響が大きいと書きましたが、使用する麦によっても雰囲気が異なると思います。ワインが好きな方はブドウを、日本酒が好きな方は酒米で考えてみてください。シラーとガメイ、山田錦と五百万石は、やっぱり風味が違ってきますよね。ここでは、ウイスキーに使う二条大麦の色々な種類をまとめました。
目次
使う麦も個性の一つ
他の農作物と同じように、ウイスキー用の麦は品種改良が続けられていて、新品種のほうが悪天候や病気に強く、加工も簡単で多くのアルコールを抽出できるようになっていきます。
例えば、イギリスにおける麦の使用品種の主な変遷は以下の通りです。*1 かなり頻繁に移り変わっていった印象を受けます。
- 1968~1980年:ゴールデン・プロミス(Golden Promise)
- 1980~1985年:トライアンフ(Triumph)
- 1985~1990年:カーマルグ(Camargue)
- 1990~2000年:チャリオット(Chariot)
2016年現在では、2000年ごろから主流になったオプティックをはじめ、ベルグレイヴィア、コンチェルト、オクテイヴィアなどが挙げられるそうです。
こうした麦の進歩は、育成の難易度が下がり、収穫量が安定するなど良い面もたくさんありました。ただ、ウイスキーに焦点を当てると、明らかに酒質がライトになっていきました。もちろん酒質の変化は麦だけが理由では無いのでしょうが、私は麦の変化が大きいように感じます。
各メーカーも麦の品種にこだわったウイスキーを発売するようになっています。2018年1月現在で、まだ手に入るボトルを中心に書いていきます。
麦にこだわったウイスキー
まず、アイラ島のブルイックラディは、いろいろなこだわりをもったウイスキーを発売し、麦にこだわったウイスキーも発売してきました。*2
BRUICHLADDICH ISLAY BARLEY 2007
BRUICHLADDICH
ISLAY BARLEY 2007
ROCKSIDE FARM
Bruichladdich Islay Barley 2007 Islay Single Malt Scotch Whisky
農園まで明記したウイスキーで、なんだかワインぽいですね。麦の品種はオプティックです。
BRUICHLADDICH BERE BARLEY 2008
BRUICHLADDICH
BERE BARLEY 2008
UHI ORKNEY FARMS
Bruichladdich Bere Barley 2008 Orkney Islay Single Malt Scotch Whisky
これも農園指定ですが、このボトルは、「BERE BARLEY」が面白いです。
BEREとは麦の品種名で、19世紀ごろまでイギリスで広く使われていたものです。しかし、育てにくいうえに抽出できるアルコール分も少ないことから、作付面積が減少していったそうです。
Bereを使って作られたウイスキーは、他にもいくつかあるので興味を持たれた方は検索してみると楽しいです。
私が好きなウイスキーの一つに、モーレンジのトゥサイルがあります。
GLENMORANGIE TUSAIL
GLENMORANGIE
Tùsail
これはクラフトビール用の麦「マリス・オッター」を使っています。限定品なのに今でもときどきオークションで安く出ています。私は大好きなウイスキーです。
「アルコール入り麦汁」のような風味で、かなり素朴な麦の風味を感じられるだと思います。ビールが好きな方には試してほしいです。
おわりに
上に挙げたボトルは、ほんの一例です。スプリングバンクのローカルバーレイやアランのオークニーベアー、ミシェルクーヴレーのシングルシングルベアバーレイ……などなど、これまで様々なウイスキーが発売されてきました。
こうした麦のこだわったシリーズと現行品との飲み比べは、ウイスキーを味わう楽しさを知ることができると思います。
私も飲んだことが無いものも多いので、今後、少しずつ出会っていけたらなあと思っています。個人的には、ボトルを買って比べるのも良いですが、まずはバーなどで教えてもらったり小分けで購入したりしながら飲んだほうが良いと思っています。
たとえば、「ひとくちウイスキー」さんは30mlの小瓶で販売されています。
送料は必要になりますがセットメニューもあります。ウイスキーの裾野が広がると、こうしたお店も増えることになるので良いですね。