ピートの強さを求める方へ
ピートとは何かについては、別記事「ウイスキーとピート」をご覧ください。ここでは、ピート由来の煙っぽさやヨードっぽさを追い求める方へ向けて、私見を書きます。
- 「フェノール値(ppm)」を調べる
- ラベルを見て「ピーテッド」の表記があるか調べる
- 公式テイスティングノートを読む
- かなり強烈:アードベッグ コリーヴレッカン
- ちょっとやり過ぎ?「スーパー」ヘビリーピーテッド:オクトモア
「フェノール値(ppm)」を調べる
客観的にピーティーさを計測する指標に「フェノール値」が挙げられます。一般的に、2~5ppmがライトピーテッド麦芽で、20ppmがヘビリーピーテッド麦芽と言われて
います。ピートの強さを前面に押し出したウイスキーだと、このフェノール値を明記していることが多いです。
ただ、ピートの個性は土地によって異なります。炭化の進み具合や採掘される場所、炭化する前の植物の種類などによって、フレーバーが異なってくるようです。ワインの「テロワール」と似ていますね。
ウイスキーの個性については、あらかじめ公式テイスティングノートを読むことで、ある程度は想像できると思います。
ラベルを見て「ピーテッド」の表記があるか調べる
ピートが苦手な場合と重複しますが、ピートが軽めのウイスキーの方が多く売られていると思います。そのなかで、わざわざ
「ピート焚いていますよ」とか「すんげえピート焚いていますよ」と書いてある場合は、こだわっていると考えてください。
「Peated」と書いてありますね。「ピート焚いてるからね」ということですね。では、2枚の写真を張り付けるので、ピートに関する表示を見つけられますか?ちょっとわかりにくいかもしれませんが、「peat」のスペルを探してみてください。
左の写真は、白い文字で2段にわたって「HEAVILY PEATED」と書かれていますね。右の写真は、ORIGINALのNの下から筆記体で「Peaty」と書かれています。
このように、ボトルを買う前にわかることも多いです。たとえば、発売元や輸入業者の方がテイスティングノートを公開していることもあります。
公式テイスティングノートを読む
テイスティングノートを読むことで、ある程度の風味が想像できます。特に、一次ソースというか公式の情報は詳しく書いてくれていることが多いので、ご覧になることをおすすめします。ここでもアードベッグTENとタリスカー10年を例に出します。
よく「強いウイスキー」として、ひとまとめに扱われがちですが、けっこう違う部分があります。私の感想では、アードベッグTENもタリスカー10年も、特に強烈という印象はありません。それよりも、「アードベッグ コリーヴレッカン」のほうが、よほど強烈だと思います。
かなり強烈:アードベッグ コリーヴレッカン
まず、テイスティングノートを抜粋します。上の二つと比べると、強度の違いを感じませんか?
<香り>
恍惚とするほど強烈で力強い香りの渦に引き込まれる。タールロープとクレオソートの香りの奔流に圧倒される(略)
<味わい>
ペッパーステーキのようなスパイシーで強烈な第一印象(略)
このコリーヴレッカンはアードベックのレギュラー商品です。もともとは限定ボトルだったのですが、人気を博したのでレギュラー化されたのだとか。現行のアードベッグでは、以下の4種類がWebサイトで紹介されています。
- TEN :46% 4000円以上
- AN OA :46.6% 7000円以上*1
- ウーガダール :54.2% 6000円以上
- コリーヴレッカン :57.1% 7000円以上
名古屋フェスで飲み比べたのですが……ショーティーくんのぬいぐるみに質感が最高に良くて夢中なあまりに写真を撮り忘れました。売ってたら買いたいです。
それでも、コリーヴレッカンが最も強烈だったことは記憶しています。アルコール度数もTENの46%に対してコリーヴレッカンは57%を超えてきます。ただ、価格の高さも跳ね上がります。価格が高くても大丈夫なら「コリーヴレッカン」をお勧めします。
「ハァ?8000円近くも出せるかよ!」という方は、TENでも十分に良いと思います。販売店の方も「アードベッグのスタンダードはTENです」とのことです。
ちなみに、アードベッグのご近所にラガヴーリンやラフロイグがあります。いずれも個性が強いウイスキーですが、アードベッグとはまた違った味わいです。アードベッグが合わなかった場合は、お試しください。
では、最後に「もっと、もっと強さを!」という方に向けてオクトモアを紹介します。色々な意味で有名なので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。
ちょっとやり過ぎ?「スーパー」ヘビリーピーテッド:オクトモア
オクトモアはブランド名で、作っている蒸溜所はブルイックラディです。20ppmを超えるとヘビリーピーテッドなのに、基本的に160ppm以上で、300ppmも超えるものもあります。全盛期のイチロー選手のコピペみたいですね。
バーテンダーの方に「こんなのありますよ」と言われて飲んだ際に「ちょっとやり過ぎですね」「やっぱりそうですよねえ」と会話した記憶が残っています。あと、飲んだ時にむせて写真を撮ることをすっかり忘れてしまいました。
色々なこだわりを持って作られているので、割と高いです。この写真は「オクトモア 07.2」ですが、ネットショップで16000円台後半。別バージョンでは30000円近いものもあります。個人的には、バーで飲むほうがいいんじゃないかなあと思います。
もちろん、ちょっと高めです。でも、モノは試しというか、キモ試しというか、一度は体験しておくのも良いでしょうね。
慣れてくると、「あれ、結構甘いじゃん」と思えるようになる……かもしれません。
*1:現在、一部の店では10000万円以上のプレミア価格です