シーバスリーガル18年 ミズナラ カスク フィニッシュ
CHIVAS REGAL
AGED 18 YEARS 水楢
MIZUNARA CASK FINISH
アルコール度数:43%
最低熟成年数:18年
種別:ブレンデッドウイスキー
【香り】
明るく華やかな印象。赤いリンゴの蜜をイメージする濃厚な甘い香りに、やや青い柿のような香りが混じる。
時間が経つとニッキの粉末のようなスパイシーな要素も感じられるが、それほど目立たない。また、更に時間が経つと木香のような要素も出てくる。
最初こそ甘い香りが目立つものの、上述したスパイシーな要素がアクセントとなり、良いバランスを保っている。
【味わい】
口当たりは柔らかだが、非常に華やかな香りが鼻孔に抜けていく。このとき、洋ナシのようなフルーティーさとともに、ミズナラ由来らしき独特のスパイシーさが感じられる。
しっかりと空気を含みながら飲むと、ビターチョコレートのような仄かな甘みも感じられる。この甘みはじんわり広がり、スパイス香も相まって口中に長く心地よく残る。
【もう少し詳しく】
シーバスリーガルミズナラ18年は、2020年1月14日(火)にリリースされました。
「ミズナラ」というスペルには、愛好家の戦闘力を高める効果があると感じます。普段は穏やかな愛好家も、ミズナラ樽の話を始めた途端、バーサーカーのように豹変してしまうことがあります。
同じ豹変するなら、街雄トレーナーのようにお手柔らかにお願いしたいです。
今回のシーバスリーガルミズナラ18年について、私は「結構いいじゃん」と思っています。高価なウイスキーなので、お値段相応と言ってしまえばそこまでです。そして、「水楢」と大書しているのは狙い過ぎな気もします。
それでも、初心者の方にオススメできるブレンデッドウイスキーだと思います。
セールスコピーは「18年以上熟成されたモルトとグレーンウイスキーをブレンドし、日本原産の希少なミズナラ樽でフィニッシュした特別なシーバスリーガル。」です。
シーバスリーガル「ミズナラ」が最初に発売されたのは、2013年10月のことでした。
ベースとなる原酒は12年以上熟成されているとのことで、確かに「AGED FOR 12 YEARS」と書かれています。
でも、「ミズナラカスクマチュアード」や「ミズナラカスクフィニッシュ」じゃないんですよね。「スペシャルエディション」なんです。
製法は「一部の原酒をミズナラ樽で追加熟成させ、他の樽で追加熟成させた原酒とブレンドする」とのことでした。
この「追加熟成」あたりが愛好家の心をザワつかせ、発売前から「普通のシーバスとそこまで変わらないんじゃない?」という声も聞かれました。
そうはいっても「ミズナラ」というスペルには混乱の効果もあるようで、「ミズナラカスク」と聞いて、「なに!?ミズナラ!?」「ミズナラカスクとな!」「ミズナラ……カスク!」と愛好家が浮足立った……かどうかまでは分かりませんが、それなりに話題になったことを記憶しています。
『衛宮さんちの今日のごはん』2巻 P7
第10話:冷めても美味しいからあげ
ただし、当時は2013年。山崎18年や響21年も飲みたければ手の届く時代でした。もう少し後に発売された山崎LIMITED EDITION2014が8000円ぐらいでリリースされた時代です。
それでも当時は「NAの山崎に8000円?高すぎるでしょ」とか言われていて、売れ残っていました。
LE2014については、私は気に入ったので何本か買ったし義実家にもプレゼントしたりしていました。ただ、お店の方に「珍しいですね」と言われるなど、まあそういう雰囲気でした。
なんせ響17年がワゴンセールで投げ売られていた時代です。私も「ウイスキーを飲んでみたい?とりあえず響12年と響17年のミニボトルを試すといいですよ」と言っていました。
さて、ここまで書くと、シーバスミズナラに対する反応は察していただけると思います。「やたらと高いシーバス」やら「普通の高い酒」やら決して好意的なものではありませんでした。その原因は、やはり「ミズナラ」のせいでしょう。
【ミズナラについて思うことなど】
ミズナラは、とにかく「なんか滅茶苦茶うまい」みたいな雰囲気と「白檀(びゃくだん)」やら「伽羅(きゃら)」という言葉が先行しています。
ただし、これらが全てに当てはまらないことは、既に皆さんご承知の通りです。「山崎ミズナラ」の説明文でも、「白檀」や「伽羅」は「長期熟成」とセットになる表現だということを仄めかされています。
ミズナラの新樽で寝かせた原酒は木香が強すぎ、必ずしも高い評価を得られませんでした。しかし、辛抱強く熟成を続けていると、新樽では強すぎた木香が、白檀や伽羅を思わせる豊かな香味に変化していったのです。熟成の神秘を表す出来事のひとつと言えましょう。
※傍線太字部は、私による加筆修正
今回のシーバスリーガルミズナラ18年は、スペシャルエディションと比べれば随分と違います。「白檀」や「伽羅」は傍に置いておいても、「あ、なんか若いミズナラっぽい」みたいなのは感じられます。
シーバスリーガルのセミナーでは「ジンジャー」や「シナモン」という表現が使われていました。オフィシャルのテイスティングコメントなので、その通りだとは思う反面、ちょっと独特なスパイシーさも感じます。
また、飲んだ際に鼻孔に抜けていく洋ナシのような甘い香りは、なかなか魅力的でした。
そんなわけで、「ミズナラ」という言葉に拘らずに飲めば、美味しいブレンデッドウイスキーだと思います(もちろん「ミズナラ」と銘打たれている以上は、拘ってしまうのは当然ではありますが……)。今回は氷を切らしていましたが、オンザロックで飲みたいですね。
「ケッ、どうせ大したことねーんだろ?」と言わず、飲んでみることをオススメします。飲んでダメなら、それまでですし。
ただ、今回のシーバスリーガルミズナラ18年は、ブラインドテイスティングで出されたら、割と高評価が得られるウイスキーだと思います。そして、初めて飲む方にもオススメできるブレンデッドウイスキーだとも思います。
過去に「スペシャルエディション」を飲んでガッカリした私のような方は、リトライされてはいかがでしょうか。
【最後に】
今回のミニボトルは、ラバーズ名古屋のシーバスリーガルセミナーに参加した際のお土産にいただきました。
なんだかいつも書いている気がしますが、セミナーに参加できる機会があれば積極的に参加した方が良いと思います。
私は田舎住まいで猫も飼っているので、なかなか都会には行けませんが、やはりセミナーに参加すると刺激を受けます。勉強になるし何より楽しいです。
さて、「ミズナラ」というスペルは混乱だけでなく、愛好家の戦闘力も上げてしまいます。
心穏やかに読んでいただけることを願いつつ、本日はこのあたりで失礼させていただきます。
ウェットフードの賞味期限が近づいていたので、晩御飯にどーんと出しました。大興奮で食べる3匹です。