琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

ウイスキーラバーズ名古屋 2020 その3

【はじめに】

今年のウイスキーラバーズ名古屋へ参加するにあたり、クローズドセミナーの受講を大きな目的の一つに考えていました。

実際に受講してみたところ、とても良かったです。そこで、このエントリはセミナーの受講をオススメするという観点から書きます。

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ただし、クローズドセミナーは全て参加申し込みが必要となっています。そのため、「これは書いても良いかな?」という部分のみ書かせていただきます。

 【催されたクローズドセミナーについて】

今年のラバーズで催されたクローズドセミナーは、以下の3つでした。 

「シーバスリーガル ブランドセミナー」

講師:トモス ブルックス氏(シーバスリーガル ブランドアンバサダー)

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サントリーウイスキーづくりにおける「継承」と「革新」」

講師:福與 伸二氏(サントリースピリッツ株式会社チーフブレンダー)

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禁酒法から100年、医療用ライウイスキーから現在のライウイスキーテイスティング
講師:巽 誠一郎氏(Rogin's Tavern 呂仁オーナー)

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なお、受講料は、シーバスさんのセミナーは無料、サントリーさんのセミナーは3300円、巽さんのセミナーは9900円でした。

では、それぞれのセミナーについて「参加して面白かったよ!」ということを、書ける範囲でまとめていきます。

【「シーバスリーガル ブランドセミナー」】

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あまり詳しい事前説明は無かったと記憶していますが、今回はリリースしたばかりのシーバス18年ミズナラの話だろうとは予想していました。まあ、そうですよね。

入室すると、こんな感じにセッティングされていました。

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講師のブルックスさんは英語で話され、それを同時通訳で聴講する形式でした。でも、聞き取りやすい英語だったので、苦手な私でも割と聞き取ることができました。

ウイスキーの製法や樽についても丁寧に解説されており、ウイスキーを飲み始めて間もない方を意識した内容だと感じました。

ミズナラについても、こんな感じの解説がありました。

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また、ブランドヒストリーについても解説がありました。ただ、こちらは大きなイベントに絞った解説でした。

「1801年に、前身となる高級食料品店がアバディーンで開業したよ」とか「1836年に兄弟で会社を経営し始めたよ」みたいな感じです。

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個人的に「あ、やっぱり外せないよね」と思ったのは禁酒法時代でした。ブランド存亡の危機に見舞われるなど、かなり大変だったそうです。

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そして、シーバスリーガルの解説を聞いてから、いよいよお待ちかねのテイスティングタイムです。

サンプルボトルをお土産にいただいたので、香りや味わいについての個人的な感想は、また後日に書きます。

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その後、質疑応答の時間が設けられました。

ミズナラ樽でフィニッシュをかける期間や免税店の18年との違い、食事とのマリアージュについて、ブルックスさんの好みの食べ合わせ等々について、活発に質問が出されていました。とても面白かったです。

こういう機会にダイレクトに英語で質問できたらいいのになあ、英語を練習しようかなぁ……と思いました。同時通訳の方は輝いて見えました。お疲れさまでした。

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お土産をいただけたり「ここだけの話ですよー」みたいな部分も聞けたりするので、無料セミナーは参加して損は無いと思います。

特に、ウイスキーを飲み始めた方は参加されると面白いんじゃないでしょうか。私は「飲み始めた」人間ではないですが、それでも面白かったです!

【「サントリーウイスキーづくりにおける「継承」と「革新」」】

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続いてサントリーさんのセミナーについて。講師は今年も福與さんです。去年も面白かったので、今年も受講を即決しました。

なお、去年のセミナー名は「サントリーウイスキーの品質へのこだわり」で、こんな感じでした。

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こちらについては去年のメモがあるので、よければご覧ください。ブログを書いておくと、振り返ることができて良いですね。

amberlover.hatenablog.jp

さて、今年もエッセンスシリーズかな?と予想していたのですが入室すると、こんな感じにセッティングされていました。碧Aoの話をすることが容易に想像つきますよね。ただ、正直に書くと「え?碧で60分も話すの?大丈夫?」とか思いました。

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とにかく、福與さんの話が始まりました。最初に面白いなと思ったのは「五大ウイスキーとは何か?」と問題提起をされた点です。

ここを「五大ウイスキーはスコッチ、アイリッシュアメリカン、カナディアン、ジャパニーズです」とサラッと流さず、あえて「どうせサントリーさんが言ってるだけでしょ?」的な雰囲気へ触れてくるのは、さすがだなあと感じました。*1

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そして碧の開発話へと話が移りました。日経新聞の記事を用いて「ここは表現がちょっと違って……」とか笑いを取りながら、開発に関する苦労話をされていました。

目指す方向性やブレンドの技術なども大変だとは思いましたが、特に、原酒の在庫を把握して調整することの難しさが印象に残りました。

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各蒸溜所には「この原酒を使いたい?うーん……」というストックがあって、それらに対して「そこを何とか」と言っていく大変さは容易に想像がつきます。

ブレンダーって飲んで調合しているだけと思いがちなのですが、社内政治みたいなものも含め、幅広いお仕事をされていることが分かりました。お疲れ様です。

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その他、後熟についてや開発にあたっての苦労話など色々と話されたあと、テイスティングに移りました。

今年のテイスティングテーマは、「碧Aoに使われている5カ国の原酒のうち、1カ国を抜いて味わってみましょう」でした。

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要するに、アメリカン抜き、スコッチ抜き、カナディアン抜き……と4カ国ずつ、合計5パターンの原酒と碧Aoを飲み比べる企画でした。

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アメリカンやスコッチが抜けているのは分かりやすかったのですが、カナディアンが抜けているというのは、最初はよく分かりませんでした。

この点について、トップノートの観点からカナディアンウイスキーの特徴について解説がありました。興味深かったし、とても勉強になりました。

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このほか、ブレンドの足し算や引き算についての考え方についての解説もありました。個人的には、ジャパニーズが入っていない原酒は、確かに味わいがちぐはぐに感じました。

なお、ジャパニーズには山崎蒸溜所のシェリー樽モルト原酒と白州蒸溜所のスモーキーモルト原酒が使われているそうです。

この辺りも、色々と笑いを取りながら話をされていました。

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なお、詳細は割愛しますが、最後にサプライズとして長熟の知多をいただきました。会場が大いに盛り上がるなか、美味しくいただきました。

以前から長熟の知多には期待を寄せていましたが、期待通りの味わいでした。これがリリースされるのであれば、ぜひ買いたいです。

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サントリーさんのセミナーは有料ですが、開発秘話も聞けるし福與さんの話も上手なので楽しく聴講できます。それに、これだけ試飲できるのであればお得感があります。

機会を見つけて、また受講したいですね。

【続きは後半へ】

3000字近くなったので、巽さんのセミナーなどについては後日に書かせていただきます。

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*1:もちろん、今回の話を聞いて納得するか否かは、個人の見解が分かれるところでしょう。