琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

アードベッグ ウィー・ビースティー 5年

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ARDBEG "WEE BEASTIE"
GUARANTEED 5 YEARS OLD

最低熟成年数:5年
容量:700ml
アルコール度数:47.4%
地域:アイラ島(ポートエレン周辺)
熟成樽:バーボン樽、オロロソシェリ―樽

※Barアンバールさんよりテイクアウト

【香り】

アルコールの刺激が鼻をくすぐる。香りはあまり広がらない。若さを感じさせる青っぽさ。白ブドウ果肉のような甘酸っぱさ。やや未熟な洋ナシ、アプリコット。燃えた木や煙。糖蜜を思わせる甘い香り。

【味わい】

力強いアタックだがボディは軽め。TENに比べてダシ感や薬品感は軽い反面、燻製のような煙感は強い。

ややシンプルではあるものの、時間をかけて飲んでいくと潮っぽさが感じられるようになる。また、若さの中に徐々にコクのある甘さが主張するようになる。余韻にはピートとともに、この甘さが残る。

【はじめに】

コロナが少しずつ収束してきたとはいえ、飲食業はまだまだ客足が戻っていません。かくいう私もなかなかバーに行けず、行けたとしても田舎民なので車で数十分かかかります。なのでノンアルコールカクテルばかり頂いていました。

これはこれで色々な発見があって面白かったです。ネコ型かわいいですね。

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ただ、やはりウイスキーを飲みたいものです。そんなときにマスターから「テイクアウトやってますよ」と教えていただいたので、気になっていた2つをテイクアウトさせてもらいました。

今回テイクアウトしたのは、アードベッグのウィー・ビースティー5年とケイデンヘッドのロッホサイドです。このうち、今日はアードベッグを飲むことにしました。

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ウィー・ビースティー 5年がリリースされたのは2020年7月14日。煽り文句は「アイラモルトの歴史に鋭い爪痕を残す リトルモンスターがついに誕生!」です。

上の写真にもちらりと見えていますが、キャップラベルもネックラベルも鮮やかな赤色です。

www.ardbegjapan.com

アードベッグの変わり種と言えば「ブラスダ」が思いだされます。ブラスダは食前酒を狙って2008年にリリースされました。蒸溜後のフェノール値がアードベッグとしては低めの8ppmで、アルコール度数も40%でした。

そのため賛否両論入り混じり、クセの強さを求める方からは「迷走するな」とか「こんなの絶対おかしいよ」的な言われようでした。

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3月のライオン 3|白泉社 Chapter26

これに対して、「閉鎖前のキルダルトンだってライトピートだったじゃん」という擁護の声や「ライトピート!そういうのもあるのか」と前向きに捉える声もありました。今となっては蒸留所のスタイルや酒質を考えられる良い機会だったのですね。

ただ、少なくとも当時の私の周辺ではブラスダは不人気で、私も半額に値下げされたブラスダを買ったことがあります。3000円でお釣りがきました。

では、今回のウィー・ビースティー5年はどうなのでしょう?

【ウィー・ビースティーについての雑感】

Web上には「すっげー荒っぽいよ派」と「思ったより荒くないよ派」の両方を見かけます。正誤の判定など必要ありませんが、私は後者の意見です。

確かに、グラスに注いだ直後は、明らかに若さを主張する香りがフワリと漂います。口に含んでも同様に、若さと荒さが目立ちました。 正直あまり得意ではない風味です。

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「うーん」と首をひねりつつ、時間をかけて飲んでいきました。すると、奥の方からコクのある甘みや燻製、ダシ感といったアードベッグらしさが出てきたわけです。ちびちび舐めるよりもグッと飲み込んだ方が、甘い香りが鼻に抜けて良かったです。

TENと比べて若さは明白ですが、5年は決して若すぎるわけでは無いと感じました。

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ただし、やや単調な感は否めません。フルーティーさが薄い点も引っ掛かりました。それでも短熟アイラの良さが出ていると思いました。飲み始めてから気が付いたのですが、加水やソーダとの相性も良いでしょう。

TENと比べて薬品臭も抑えられているし、少し度数も高めです。氷もソーダも買い忘れたので諦めましたが、今度あらためてアドソーを飲むことにします。

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今回のリリースは結構な注目を集めました。「初めてアードベッグ飲みました」という人もちらほら見かけます。それを見るにつけ、今回のメインターゲット層はアードベッグに慣れていない人じゃないかな?と私は思います。

そういう人々にもアードベッグに興味を持ってもらい、やがてTENやアンオー、ウーガダール、あるいはコリーヴレッカンに移行していってもらう。そして、ゆくゆくは長熟を楽しんだりアードベッグデーに参加したりしてもらう。

今回のリリースにはそういう思いも込められているのだろうと私は感じました。

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ちなみにウィー・ビースティー5年は現在プレミア価格になっています。ただしレギュラーラインナップですし、アンオーと同様にそのうち落ち着くでしょう。ボトルを急いで買う必要は無いと考えます。

馴染みのバーが仕入れていた、まずはそちらで試されることをオススメします。

【公式サイトについて】 

今回のウィー・ビースティーについて、私は「メインターゲット層はアードベッグに慣れていない人じゃないか」と書きました。それは公式サイトを見ているときにも感じました。

ご存知でしょうけれど、今回のウィー・ビースティーにはPR動画が公開されています。動画のコンセプトは以下の通りです。

アイラ島で誕生したモンスター、ウィー・ビースティーが世界を席捲する衝撃のストーリーを描いた特撮ホラームービーです。

ホラームービーと銘打たれていますが、ホラーが苦手な怖がりの方でも大丈夫です。おしっこに行けなくなる、なんてことはありません。ちゃんとオチも用意されています。

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最近のアードベッグデーでも、こういう動画が作られていますよね。今回は、かつての「ケルピー」的なシュールでカオスなノリを思い出しました。

公式サイトで公開されているGIFスタンプもシュールでカオスです。

 

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うん、貼ってみましたが、何度見ても意味が分かりません。何でしょうね、これ。

まあインターネット老人会的には「うはwwwっをkwwww」あたりのノリを思い出すので、とりあえずみなぎってみます。

www.youtube.com

こういうノリが合わない方やみなぎってこない方はグローバルサイトをご覧ください。英語ですが心静かに穏やかにテイスティングノートなどが見られます。下記リンクからどうぞ。

www.ardbeg.com

【最後に】

今回のウィー・ビースティーは、公式サイトには

5年熟成のスモーキーさをぜひストレートで味わってみてください。

と書かれています。ただ……最近少し涼しくなってきたとはいえ、アイラモルトをウィー・ビースティー5年をストレートで飲むには、まだちょっと気合が必要です。

暑い日にはアルコールの有無を問わず、やはりクラッシュドアイスとかソーダ割でググっといきたいものです。

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今回のウィー・ビースティー5年は、是非ともソーダで割って食中酒として飲んでみたいんですよね。タレ串とかチーズカツとか、そういうのと合わせてみたいです。早くボトルが出回り始めることを願っています。 

それでは、最後に我が家のリトルモンスターズを紹介しつつ、本日はこの辺りで失礼させていただきます。

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もうすぐ換毛期で毛が生え変わります。そこら辺に毛が落ちて掃除が大変な一方で、もふもふ感がたまらないシーズンでもあります。

【参考にしたWebサイト】
  1. ウィー・ビースティー | 世界が熱望するアイラモルト ARDBEG
  2. Ardbeg Wee Beastie | Drupal
  3. The Ardbeg Project