琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

バルヴェニー14年 ゴールデンカスク

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THE BALVENIE
GOLDEN CASK
FINISHED IN CARIBBEAN RUM CASKS
AGED 14 YEARS
最低熟成年数:14年
アルコール度数:47.5%
国:スコットランド(イギリス)

地域:スペイサイド

【香り】

明るく華やか。シロップのような濃厚な香り。蜂蜜やバニラをイメージする甘い香りとオレンジのような果実香も感じられる。時間が経つと砂糖を煮詰めたような濃厚な香りが強くなる。黄桃のジャムが思い浮かんだ。

更に時間が経つと、酸味を感じさせる香りも拾えるものの、全体的には黄色い果実を連想させる甘やかな香りが強い。

【味わい】

度数を思わせない円やかな口当たり。バニラや麦を感じさせる強い甘み。時間が経つと酸味も感じられる一方で、飲みこんだ後に甘さが盛り返してくる。果実としては黄桃のような印象。少し後に木の要素を感じさせる渋みがある。

余韻は中程度。明るい印象を受ける果実感、濃厚な麦感、柔らかな樽感と微かな煙感。

バランスは良いものの後味に甘みが残るため、ピーティーウイスキーを好まれる方にとっては「甘すぎる」と感じるかもしれない。

逆に、ブランデーを好まれる方は違和感なく飲めるのではないだろうか。

【もう少し詳しく】

バルヴェニーグレンフィディック蒸留所の敷地内に建っています。モルトウイスキーが好きな方ならご存知のことですが、飲み始めた方はご存知ないことも多いでしょう。

細かいことは以前にまとめたので、こちらをご覧ください。

amberlover.hatenablog.jp

グレンフィディックバルヴェニーが結びつかない理由として、やはりボトルの形状が大きく違うことが挙げられます。グレンフィディックと言えば、やはり鹿のマークと三角形のボトルです。

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これに対してバルヴェニーのボトル形状は、割と丸っこくてコルクも太めです。コルクが割れたら替えを見繕うのが大変ですが、形状はスタイリッシュです。そんなわけで、同じ会社のウイスキーだとは認知されにくいのだと思います。

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ちなみに、グレンフィディックバルヴェニーも、現在の正規輸入・販売元はサントリーさんです。

www.suntory.co.jp

今回の「ゴールデンカスク」は、免税店向けに2009年に発売されたはずです。最近は見かけなくなり、サントリーさんのWebサイトにも載っていません。

しかし、バルヴェニーのサイトにはラインナップとして記録されています。

THE BALVENIE GOLDENCASK AGED 14 YEARS

https://www.thebalvenie.com/our-whisky-range/view/goldencask/

では、現行品のカリビアカスクと今回のゴールデンカスクは、何が違うのでしょうか?

【現行品との違いについて】

ラベルを比較してみると手っ取り早そうなので、比べてみます。

まず、現行品は「CARIBBEAN RUM CASKS」「EXTRA MATURED IN RUM CASKS」と書かれています。

これに対して、ゴールデンカスク「GOLDENCASK」「FINISHED IN GOLDEN CARIBBEAN RUM CASKS」と書かれています。

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ラムの産地は変わっていないわけです。となれば、熟成期間かな?と思いました。わざわざ「ゴールデン」と書いたていますし……。

ゴールデンカスク。これはきっと金箔を貼ることで鹿苑寺金閣のように光り輝く樽……なわけないですよね。

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上述したバルヴェニーのWebサイトから説明文を引用します。

In the crafting of GoldenCask, Balvenie is carefully aged in traditional oak whisky casks and then transferred into barrels that had previously held golden Caribbean rum for a final period of maturation. 

青太字:ぱさぱさ加筆)

英語です。苦手です。嫌いです。読みたくないです。でも、仕方が無いので読みます。Google翻訳さんに頑張ってもらって訳してみました。

GoldenCaskの製造では、原酒は伝統的なオーク樽でじっくり熟成されます。そして、熟成期間の最終段階を迎えると、golden Caribbean rumを熟成させていた空き樽に移し替えられます。

このgolden rumはゴールドラムのことでしょう。

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となれば、「カリブ産のゴールドラム」と訳すのが自然でしょう。では、ゴールドラムとは何なのでしょう?

【ラムの種類】

ネットショップでラム酒を買う場合、製造地域で分類されていることがあります。ラムの歴史は奴隷貿易の歴史であり、ラム酒の製法は旧宗主国(征服した国)に大きく影響を受けています。これについては過去にもまとめました。よければご覧ください。

amberlover.hatenablog.jp

分類方法は地域だけではありません。樽熟成の期間で分類されていることもあります。

  • ホワイトラム:基本的に熟成させないもの(無色透明が多い)
  • ゴールドラム:樽で3年未満熟成させたもの
  • ダークラム :樽で3年以上熟成させたもの

現行品は「ゴールデン」が表記されていません。ラベルには「EXTRA MATURED RUM CASKS」と書かれているのみです。ラベルの情報は意味があるものなので、樽が変わったのかな?と考えるのが自然なことでしょうね。

ちなみに、同じく「ゴールデンカスク」と言えばモーレンジのゴールデンラムカスクが思い浮かびます。

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こちらもあまり見かけませんが、なかなか美味しかったです。バルヴェニーと比べると、後味が少しスッキリしていた印象を受けました。

ラムカスクも色々と飲み比べていきたいですね。

【おわりに】

手軽に買える「バルヴェニー14年」は、通販も含めて次の3つです。

このうち、ピートウィークは飲んだことがあります。もっとも、このときは、ちょっと独特なえぐみが感じられて、私はそれほど得意ではありませんでした。

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ただし、これは現時点での話です。好みは変わっていくものなので、「なんだ、俺がバカ舌だっただけか」という日が来るかもしれません。

バルヴェニー飲んだことない……」という方は、スタンダードな12年ダブルウッドから入られることをオススメします。一時期は終売とも言われていましたが、休売だったそうで今でも流通しています。

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今回のゴールデンカスクは、現行品と比べて度数が高めに設定されていますが口当たりも優しく、この度数で良かったです。

ただ、ちょっと甘みが強いので、ヘビリーピーテッドのクセにハマっている方は、あまり好みでもないかもしれません。というのも、昔シングルカスクの15年を飲んだ時に、アイラにハマっていた私は「まあ、こんなもんか」と思ったことがあるからです(後日に美味しさを理解して、もう1本買っておけば良かったと後悔したものです)。

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さて、最近いろいろとありますが、特に飲食業の方々は大変です。私の旧知のバーでテイクアウトを頼むようにするなど、可能な限り支援しています。

このブログを読まれたあなたが、ご無事で乗り切られることを心から願いつつ、本日はこの辺りで失礼させていただきます。

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献杯

【参考にしたWebサイトおよび図書】
  1. 悲しい過去をもつ南国の酒|農畜産業振興機構
  2. バルヴェニー シングルモルトガイド サントリー
  3. ラムの種類 | 日本ラム協会 Official Site