グレンフィディック セレクトカスク(ミニチュアボトル) 加筆修正あり
Glenfiddich
CaskCollection SELECT CASK
度数:40%
容量:50ml
最低熟成年数:表記なし
地域:スペイサイド
種別:シングルモルト
【香り】
バニラ、蜂蜜。シロップ。香料のように人工的なオレンジ。強い清涼感。時間が経っても、それほど大きな変化は感じられない。
【味わい】
スムースな口当たり。さらりとしており、やや水っぽい印象。ショウガのようなスパイシーさ、少しシェリー様の甘さが感じられた。
時間が経つとスパイシーな部分よりもレモンのような酸味が感じられるようになる。余韻は短く苦みが感じられた。
なお、喉の奥に砂糖菓子のようなペタっとした甘さが残った。
【もう少し詳しく】
CaskCollectionは2013年にリリースされました。免税店向けで、ラインナップは以下の3種類です。
- SELECT CASK
- RESERVE CASK
- VINTAGE CASK
今回のSELCT CASKのコンセプトを読んだところ、ポイントだと思う箇所が2つありました。以下に抜粋します。
AN ELEGANT SINGLE MALT,MATURED IN SPECIALLY HAND-SELECTED AGED BOURBON,EUROPEAN OAK AND RED WINE CASKS AND MARRIED IN OUR SELECT CASK SOLERA VAT
1つ目は「SPECIALLY HAND-SELECTED」の訳について。
Webショップで「特別に手作業で選ばれた」というニュアンスの文章を見かけますが、それよりも「厳選された」と言う感じかな?と思います。
要は、「職人の手と目で選んだ」とか「樽に拘ったんだぜ?」みたいな感じのニュアンスなのではないでしょうか。
次に、SOLERA VATについて。
これはフィディック15年のときに出てきましたね。スペインのD.O.ワイン「シェリー*1」の製造方法をヒントに考案された方法です。
図を作ったので再掲します。
とは言うものの、今回のセレクトカスクはフィディック15年と比べると、かなり若さが感じられました。
ノンエイジだからと言って一概に否定できないのは当然ですが、やっぱりバランスを保つことが難しいことには変わりないのでしょうね。
【グレンフィディックについて】
「フィディックは入門用の穏やかなモルトウイスキー」といった評価を目にすることもあります。
これについて、評価には個人差があるでしょうけれど、決して間違ってはいないと私は思います。
ただ、「穏やか」という言葉に引っ掛かりを感じます。否定的な意味合いで使われているのではないか、とも感じるんですよね。
「穏やか=柔らかな感じ」と解釈した場合、リベット12年の方がしっくりくると思います。
リベット12年って体調に大きく左右されず、いつ飲んでも美味しいデイリーウイスキーだと思っています。
現行はミニボトルし買っていないのですが、台所仕事を終えた後にサクっと飲んでいることが多いです。
写真が汚いのは、あまり考えずに撮ったからです。すみません。
また、「穏やか=飲みやすい」と考えた場合は、フィディックよりもモーレンジの方が当てはまると思います。
現行のモーレンジは、少し張り付くような甘さを感じますが、さらっとした水っぽさも感じます。
そのためなのか、「モーレンジなら飲める」という方もいらっしゃいますよね。
では、フィディックの「穏やか」には、どんな意味が込められているのか?と考えると、「いまいち」とか「パッとしない」とか「没個性的」とか、とにかく否定的な意味合いが込められている気がしてなりません。
ただ、上述した通り最近のフィディックではソレラVATが良い感じに機能していると思います。
今回のセレクトカスクは、かなり若さを感じたものの、ニューポットのような感じはなく、レモンのような酸味や後味の苦み、その後のペタっとした甘みが感じられて面白かったです。
他にも、15年なんか結構良い感じだと思います。これが43%、あるいは46%だったら、どんな感じだったんだろうなあとワクワクします。
他にも焦げ感のあるフィディックも飲んだことありますが、それも良かったです。
ですから、ピートとか樽とかで、重厚に攻める。3月のライオンの棋風で言えば後藤9段路線。そういうのも良いんじゃないかなあと思います。
バルヴェニー12年と飲み比べると、同じ敷地内にあるといって方向性が異なっていることが実感できて面白いですね。
ちなみにバルヴェニーのピートウィークは、ちょっと植物っぽいというか湿り気がある印象を受けました。
個人的には、もうちょっとカラっとしてスモーキーな感じのほうが好みかなあ、とは思いました。
そして、リリースされているスタンダードボトルって美味しいんだな、実感しました。
ちなみに、フィディック12年は「希少」という単語と縁がありません。
それが理由なのか、特に「マッサン」からウイスキーを飲み始めた方から「実は飲んだことが無いんです」という話を聞いたこともあります。
まだ飲まれたことが無い方は、是非、チャレンジして欲しいです。
【フィディックのWebサイトで気が付いたこと】
URLを見ると、UK版は「collecion/all」なのに、日本語版は「core-range」で主力商品だけの紹介です。
今回のCaskCollectionは免税店向けとはいえ、ちょっと寂しいですよね……。
他方で、韓国語と中国語で表示させると全く違います。まずは韓国語から。
韓国ではウイスキー消費量が低迷しており、2019年1月にはImperialブランドをペルノ・リカール社が手放すという話も出ていました。
そのため「日本と同じ内容かな?」と思ったのですが、豊富なラインナップが紹介されていたので驚きました。
続いて中国語。
こっちはイギリスとほぼ同じラインナップが紹介されていたので、驚きました。
中国にせよ韓国にせよ、公用語で情報が得られることは、本当に羨ましい限りです。
中国のウイスキー市場については、私も色々と思うところはありますが、こういう点については素直に「いいなあ」と思いました。
【最後に】
【参考にした書籍およびWebサイト】
Korea’s indigenous Scotch whisky Imperial placed up for sale - 매일경제 영문뉴스 펄스(Pulse)
スタンダードを見直そう | WHISKY Magazine Japan
Reconstruction of Glenfiddich’s 15 Year Old Solera | Nickolls & Perks Blog