琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

バルヴェニー 12年 ダブルウッド

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The Balvenie DoubleWood
Aged 12 Years 
容量:700ml
アルコール度数:40%
最低熟成年数:12年
地域:スペイサイド、ダフタウン

【香り】

最初の印象は、濃厚な甘みの中に酸味も感じる果実香。オレンジやアプリコットといったイメージ。少し遅れて青リンゴのような香り。時間が経つと、蜂蜜やクリーム(カスタード?)といった濃厚な甘さを感じさせる香り。また、ミントのような清涼感。深く吸い込むと、少し土っぽさを感じる。

【味わい】

アタックは度数相応でスムースな口当たり。蜂蜜のような甘さとともに、ブドウの皮付近のような渋みも感じられ、これが味わいを引き締めている。また、木の香りも感じる。
全体的に香りと味わいとのギャップが少なく、バランスが良い。余韻も長く、レーズンや蜂蜜といった甘やかな香りが鼻孔に抜ける。

【もう少し詳しく】

いわゆる「初めてのウイスキー」的な本には載っていないことも多いのですが、初めてのウイスキーの本命候補だと思っています。

私がバルヴェニーが大好きだという贔屓目もあるかもしれませんが、本当に美味しいスタンダードウイスキーです。欲を言えば、43%ぐらいで飲んでみたい気もしますが、ないものねだりはいけませんね。

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バルヴェニーは、スペイサイドのダフタウンに位置しており、グレンフィディック蒸溜所の姉妹蒸溜所です。すぐ近くにはキニンヴィもあります。

位置関係は、こんな感じです。

バルヴェニー」とはダフタウンにある古城の名前で、ゲール語で『山の麓の集落』の意味です。

最近なにかと話題のGoogleMAPですが、ストリートビューBalvenie Castleが見られたので、リンクを貼っておきます。

なかなか雰囲気のある古城ですね。

裏ラベルを見ると「フロアモルティングやってるの珍しいんですよー、そこんとこよろしく!」と書かれています。

バルヴェニーと言えばフロアモルティングですね。

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Nowhere else will you find a disillery that still grows its own barley,that still malts in its own traditional floor maltings(略)

フロアモルティングについては、私も実際の様子を見たことがないので調べてまとめました。

【フロアモルティングについて】

フロアモルティングは、ざっくり言うと「麦を床に広げて、手作業でひっくり返したりしながら発芽させていく」というものです。簡単に聞こえますが、実際は重労働です。

他の蒸溜所を紹介した動画ですが、リンクを貼らせていただきます。1:15からフロアモルティングの様子が紹介されています。

www.youtube.com

数時間おきに大量の麦をひっくり返す必要があります。当然、夜中だろうがひっくり返す必要があります。おまけに、発芽した根っこが絡まらないように気を使う必要もあります。

「手間ひまかけている」と言えば聞こえは良いですが、コストはかさみます。そんなわけで、あちこちの蒸溜所が「いーちぬーけぴ」「にーぬーけぴ」となっていき、今では製麦については専門の会社に依頼することが主流となっています。

ですから、フロアモルティングを採用している蒸溜所は数えるほどしか残っておらず、そのうちの一つがバルヴェニー蒸溜所というわけです。*1

www.suntory.co.jp

ちなみに、バルヴェニーの公式サイトに「バーチャル蒸溜所ツアー」という項目があって、フロアを見学することができます。動画もたくさん用意してくれているので、勉強になりますよ。

THE MALTING FLOOR

【ダブルウッドについて】

さて、今回の12年は「ダブルウッド」と明記されています。「何」と「何」のダブルなのかな?と思ったら、ちゃんとラベルに書いてありました。

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1つ目はホワイトオークのバーボン樽で、2つ目はヨーロピアンオークのシェリー樽だよ、と書いてあります。

ちなみに、先日買ってきたバルヴェニーとは、ラベルデザインが異なりました。大手酒販店さんでは「2015年1月からラベルチェンジします」と書かれていたので、今回のボトルは2014年12月までなのかもしれません。ただ、ちょっとハッキリしなかったので、機会を見つけて調べていきます。

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なお、公式による簡単な紹介動画がYouTubeにあったので リンクを貼っておきます。英語もそこまで難しいことを言っていないので、私はリスニングの勉強も兼ねて頑張ってみました。良ければご覧ください。

今回のダブルウッド12年は、本当に絶妙なバランスに仕上がっていると思います。後述しますが休売情報も流れているものの、まだ5000円ぐらいで買えます。まだ飲まれたことがない方は、是非飲んでみてほしいと思っています。

【最後に】 

最初に私が飲んだバルヴェニーはシングルバレルの15年(1990-2005)です。5000円ぐらいで買ったと思います。

当時の私はピートモンスターだったので、「美味しいけれどインパクトないなー」とか思っていたのですが、ある日を境に「あれ、めちゃくちゃ美味しいぞ、コレ」となりました。人間の好みって、変わっていくものですね。

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それ以来バルヴェニーが好きになって、長熟のバルヴェニーを飲む機会にも恵まれました。熟成期間と美味しさ(自分の好み)は、必ずしも一致するわけではありませんが、このバルヴェニーは美味しかったです。

amberlover.hatenablog.jp

悲しいことに、今回のバルヴェニー12年は休売の噂が流れています。フォロワーさんからは「サントリーさんの取扱いが終了するだけかもしれませんよ」とか「限定販売になるみたいですよ」といった話も伺いましたが、さて、どうなんでしょうね。

これからも買えたらいいな、と思いつつ、本日はこのあたりで失礼させていただきます。

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キルシュさんは質量のある残像を使えるようです。

【参考にしたサイトおよび書籍】

ザ・バルヴェニー 12年 ダブルウッド | 酒が好き!人が好き! 武蔵屋

秩父蒸溜所 | WHISKY Magazine Japan

Whisky Galore 2019 April VOL.13

稲富博士のスコッチノート 第57章 製麦の伝統と革新 [Ballantine's]

秩父蒸溜所 | WHISKY Magazine Japan

LDA » The Balvenie

Making Whisky in Scotland at Springbank Distillery - YouTube

*1:と言っても、確かバルヴェニーで使われているすべての麦がフロアモルティングでは無かったはずです。