琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

ポートシャーロット 13年(2003-2016) SCOMA

【はじめに】

台風19号のため、福島県や長野県を中心に大変なことになっています。15号で被害を受けた千葉県をはじめ、これまでの岡山県大阪府の水害など、最近は1年に1回は水害に見舞われる地域があるように感じます。

被害に遭われた方々が少しでも早く日常生活に戻れることを、心よりお祈り申し上げます。

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Port Charlotte 13 years
Port Cask
熟成年数:13年(2003年-2016年)
アルコール度数: 61.7 %
国:スコットランド
地域:アイラ島
蒸溜所名:ブルイックラディ

【香り】

最初はレモンのような爽やかな香りとともに、煙のようなピート香がしっかりと感じられる。ややワックスのような要素も感じるが、重くはない。

微細だが発酵臭も感じられた。これはヨーグルトのような印象も受けた。

時間が経つと、奥の方からイチゴやカシスなどベリー系の香りが感じられるようになる。

度数が高く、じっくりと待つことで香りの変化を楽しめた。

【味わい】

アタックは度数相応に強いものの、グラスに注いだ直後は甘みを強く感じた。そのため、度数をあまり気にせずに飲めた。この甘みについては、麦のような素朴な感じではなく、人工的で張り付くような印象を受けた。

また、やわらかな酸味も感じられた。その後は、時間が経つにつれて渋みが主張するようになる。

余韻は中程度で渋みが残る。この点について最初は甘みが残るように感じたが、徐々に渋みへと上書きされていったことが面白かった。また、甘みや渋みの切り替わりが明確な印象を受けた。

【もう少し詳しく】

ポートシャーロット探窮部ことポニキ(ポニキ (@W2dPCbot))さんからいただいたサンプルです。今まで、いくつかいただいたものを楽しませていただき、都度まとめてきました。

amberlover.hatenablog.jp

今回はSCOMA(スコマ)さんのポートシャーロットです。SCOMAさんはドイツのインティペンデントボトラーで、1977年創業にされました。

創業者の方が個人輸入を始められたところから始まり、やがて規模が大きくなり、ドイツ初のインディペンデントボトラーとなるに至りました。

www.scoma.de

SCOMAさんの正式名称は「Scotch Malt Whisky GmbH」です。

このうち「GmbH」は略語です。読み方は「げーえむべーはー」ですが、ちゃんと書くとこんな感じです。

  • Gesellschaft:げぜるしゃふと
  • mit:みっと
  • beschränkter:べしゅれんくたー
  • Haftung:はふとぅんぐ 

なんかめちゃくちゃ強そうな響きです。スパロボ「いくぜ、ゲゼルシャフト!」とか「ベシュッ……レンクタあああ!」とか叫んでそうな感じです。特に後者はMAP兵器あたりをぶっ放してそうです。

……オタ話を繰り広げるわけにいかないので、話を戻します。

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GmbHの意味は「有限会社」です。ドイツは2008年に有限会社法が改正されて以降、有限会社が増えたのだとか。そんなSCOMAさんは日本へも発送してくれます。

Zone 5 - Japan, Hongkong and Taiwan (incl. transport insurance)
- up to 5 kg 75,00 Euro
- up to 10 kg 100,00 Euro
- up to 15 kg 125,00 Euro
All prices do not inculde VAT

Versandkosten - Onlineshop: SCOMA - Scotch Malt Whisky GmbH

別サイトで海外輸入にチャレンジしかけたのですが、バスケットに入れたら売切れて断念した経験があります。

良いものを見かけたら、またチャレンジしようと思います。

【ポートワインについて】

さて、今回のポートシャーロットはポートカスク熟成です。よくある「バーボン樽→〇〇樽」ではなく、最初から最後まで13年間ポートカスクで熟成されているため、液色が赤みがかっています。

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ラベルに「matured in Fresh Port cask」と書いてありますが、これって確か1stフィルのことですね。

要はポートを出荷したあとにウイスキー原酒を詰めたわけで、色素や樽成分が溶け込むのも納得できます。

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「ポート」というのはポルトガルの原産地呼称制度に基づいた酒精強化ワインです。「酒精強化ワインってなんじゃらほい?」という方は、今「ウイスキー用語の備忘録」を作っているので良ければご覧ください。

「あー、全然知らねぇや」と悲しくなりますが、「まあ、無知の知だし!」と開き直っています。

amberlover.hatenablog.jp

ちなみにポートワインも色々ありますが、大きな括りとしては黒ブドウ原料の「RedPort」、白ブドウ原料の「WhitePort」、単一年度のブドウを使った早飲みタイプの「RosePort」の3種類です。

なお、「熟成年数表記」についてポートの場合は、混ぜた原酒の平均値を表記します。ウイスキーの場合は「混ぜた原酒のうち、もっとも若い年数」となるので、この点は注意が必要です。

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*1

ところで、ポートワインに関してはサントリーさんが販売している「赤玉スイートワイン」については触れておくべきでしょう。

「赤玉スイートワイン」は、1907年にリリースされました。サントリーさんが「壽屋洋酒店」だった時代の話です。この頃の商品名は「赤玉ポートワイン」でした。

しかし、1973年に原産地呼称を守るマドリッド協定に基づいて名前を変えて今日に至ります。*2

www.suntory.co.jp

【最後に】

ポートカスクを使ったウイスキーは色々あります。キルホーマンやロングロウエドラダワーボウモア……と枚挙にいとまがありません。

そのなかでも、レギュラー商品として有名なのは「ルビーポート(フィニッシュ)」と明記されているグレンモーレンジのキンタ・ルバンでしょう。

キンタ・ルバンは、今年になって最低熟成年数を12年から14年に引き上げられたことでも話題になりました。日本でも出回り始めていますね。

scotchwhisky.com

多くのブランドでNAS化が進んでいるなかで、熟成年数を引き上げたことに驚きました。もちろん、熟成年数が長けりゃ良いってもんじゃないので、機会を見つけて飲んでみます。

では、このあたりで終わり……たいのですが、最後に一言だけ。

スパロボのなかではSFC版の魔装機神が好きで、テュッティ=ノールバック派です。わんわんかわいいよわんわん。はい、では失礼します。

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最近は朝方に冷え込むことがあります。そのため、ピートくんとキルシュさんも換毛期になったようで、ちょっと体型が変わってきました。

 【参照および利用した書籍とWebサイト】

*1:「ヴィンテージポート」や「L.B.V」はルビーポートのなかで、「熟成年数表記トゥニーポート」や「コリェイタ」はトゥニーポートのなかで、それぞれ特定の条件を満たしたスペシャルタイプです。

*2:Webサイトではサラッと流していますが、ポルトガルから抗議を受け、サントリーさんも「ポートワインの名称は簡単に変更できん!」と食い下がったそうです。今となっては、きちんと改名しておいて良かったですね。