ジェムソン スタンダード その2 旧ラベル 43%
JAMESON
最低熟成年数:不明(ノンエイジ)
容量:50ml
アルコール度数:43%
地域:アイルランド
【香り】
シェリーを思わせる古酒のような香り。オレンジを思わせる柑橘香とミントのような清涼感。しっかり吸い込むとオイルやインクといった香りも拾えた。時間が経つとドライな草のような香りも出てくるが、全体的に甘やか。
【味わい】
しっかりとしたアタックとともに、熟した果実や麦などの穀物の甘みや淡い酸味も感じる。全体的に穏やかな印象を受ける。
余韻はやや短めだが、こってりとした甘さが残る。
【今回の概要】
今回はジェムソンの様々なラベルについても扱ったので、少し冗長になりました。そのため、目次をつけるとともに、先に概要だけ書いておくことにします。
まず、今回まとめた5つのラベルです。
左から右に向かって、引用元を順番に書いておきます。
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『世界の名酒事典 ’84年度-’85年度版』:コールドベック表記
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『世界の名酒事典 2008年-09年版』
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今回紹介するラベル
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前回紹介した現行品のラベル
この他、価格の変遷や43%という度数についても調べました。
【もう少し詳しく】
前回に引き続きジェムソンのスタンダードです。
今回のジェムソンは、少し前のラベルのものです。ただ、ものすごく前に見かけたわけでは無くて、10年ぐらい前には見かけた記憶がありました。
そこで、図書館にあった『世界の名酒事典 2008年-09年版』で調べてみると……ありました。
ということは、やっぱり10年ぐらい前に見かけたのは記憶違いではなかった言うことになります。
もう少しさかのぼってみましょう。『’84年度-’85年度版 世界の名酒事典』だと、こんな感じのラベルでした。
なんとなーく似ているんですが、今回のボトルとは、ちょっと違いますよね。
横並びにして比べてみましょう。
船の形がシャープになるなど、微妙に違う部分はたくさんありますが、大きく異なる部分は、古い方のラベルは「EST'D」と「1780」が枠で囲まれている点ですね。
ちなみに、このラベルに「INPORTED BY CALDBECK CORPORATION」と書かれているのが分かりますか?
ジョニーウォーカーのオールドボトルがお好きな方であれば、ピンときたのではないでしょうか?
そうです、あのコールドベックさんです。ジェムソンも取り扱っていたんですねえ。
面白くなってきたので「Jameson Label Old」で検索したところ、イタリア語で表示されているものなど、様々なラベルが出てきました。文字より画像の方が分かりやすいと思うので、検索結果へのリンクを貼っておきます。
さて、年代に戻りましょう。
2012年に発行された『別冊ワイナート ウイスキー基本ブック』では、こんな感じのラベルが紹介されています。
船がかなりスタイリッシュになりました。また、「JOHN JAMESON&Son」から「JAMESON」だけになりました。あと、「3回蒸溜ですよー」と謳うようになりましたね。
【価格の変遷について】
さて、こんな感じでラベルを調べていったのですが、「あれ?」と思うことが2つありました。
一つ目は価格です。
スタンダード
- 1983年:3,800円
- 2007年:2,000円
12年
- 1983年:10,000円
- 2007年: 3,100円
全然違いますよね。この理由としては、為替相場の変動*1もあったのでしょうが、やはり従価税率の変更があったからでしょう。
1989年に変更されたので、その前後で比較すれば明確に差異が出るはずです。そんなわけで、また今度図書館から借りてきます。
【アルコール度数について】
では、2つ目です。次はアルコール度数について。もう一度、『2008年-09年 世界の名酒事典』の写真を貼りつけます。どこに書かれているかわかりますか?
いかがでしたか?写真の右側に「(各40度、700ml)」と書かれています。つまり、アルコール度数は40%で紹介されているわけです。ところが、今回は43%なんですよね。
アルコール度数の規定については、過去に少しだけ触れました。
ここで書いたとおり「40%」という数字はEUをはじめ、主要ウイスキーの最低瓶詰アルコール度数が根拠となっています。
では、43%は何なのでしょう?その関係を紹介している記事がありました。
whiskymag.jpノンチルや加水についての説明もあって面白いのですが、ひとまず該当する箇所を以下に引用します。
(略)43%は「エクスポートストレングス」とも呼ばれ、国際市場で流通するスコッチウイスキーの伝統的な度数だ。南アフリカをはじめとして、43%をウイスキーのアルコール度数の下限と定めている国もある。
なるほど、輸出先の国の規定に合わせなければいけないという部分があるんですね。
【雑感】
香りや味わいに関しては既に書いてあるので、雑感を書きます。
甘い甘いと連呼している通り甘みが強いです。飲みやすいのですが、起伏というか変化は小さいです。これをスムースと表現するのかもしれません。
この甘さが苦手な方もいらっしゃるというでしょう。そんなときは、水割りやオンザロックで飲んでみると良い感じです。
オイリーに感じた部分がしっかり踏ん張っているというか、あまり水っぽくならずに美味しくいただけます。
そしてハイボール。
やっぱり少し甘めで美味しいです。甘いお酒しか飲めないよ、という方でも飲めるんじゃないでしょうか?
フォロワーさんから、「現行品のジェムソンをビーチパーティーで飲むのが好き」という話を聞いて、すごく納得しました。
ハイボールと言えばデュワーズ、という向きもあるかもしれません。でも「ハイボールってちょっとドライな感じが苦手で……」という方は、ジェムソンのハイボールを試されてはいかがでしょうか?
ちなみに、昔、ウイスキーに興味を持っていた後輩に、「どういうウイスキーが好きかな?」と質問されながら、色々と飲んでもらったことがあります。
最終的に、彼が「これ一番好きです」と言ったのが、終売品の「セレクトリザーブ」*2でした。
ウイスキーというとスコッチやジャパニーズが注目されて、アイリッシュにはスポットライトが当たりにくいように感じています。
でも、前回も書いた通りアイリッシュウイスキーに再びスポットライトが戻りつつあります。ジェムソンも、色々な商品を精力的にリリースしていて、それぞれに個性を打ち出しています。
高騰し続けるものを追いかけるのも一つの路線ですが、たまには少し道草してみるのも楽しいのではないでしょうか?きっと楽しいウイスキー沼が広がっていると思います。
そんなことを考えながら、本日はこのあたりで失礼します。