グレンモーレンジ アルタ
今週のお題「お気に入りの飲み物」
Glenmorangie
ALLTA
アルコール度数:51.2%
容量:700ML
最低熟成年数:不明
地域:ハイランド
@Bar AMBER
【香り】
最初は香りは大きく広がらない。ややドライで、スコーンのような香ばしい麦の香り。時間が経つと、濃厚な蜂蜜。また、スパイシーさも感じられるようになる。いったん白い花をイメージさせる香りが出てくるが、その後、再びバニラ様の甘い香りが強くなる。
【味わい】
最初は若さを感じた。時間が経つと清涼感が目立った。その後は、ソフトキャンディのような、濃厚な甘みを感じた。温かみのある柑橘系の要素も感じた。
余韻に香ばしい麦のような香りを感じるものの、短くキレが良い。
【備考】
バーで飲んでいたということもあり、とてもザックリとしたテイスティングです。ご留意ください。
【もう少し詳しく】
グレンモーレンジは、2010年から『プライベートエディション』というシリーズをリリースしています。1年に1回リリースされる限定版で、毎回、何らかのこだわりというかコンセプトがあります。
去年は、アメリカン・ライ・ウイスキーカスク熟成の原酒のみを使用した「スピオス」をリリースしました。
今回の「アルタ」は、プライベートエディションの第10弾として、3月6日(水)にリリースされました。今回のコンセプトは「野生酵母」です。
具体的には、モーレンジィ社が所有する大麦畑から発見された野生酵母「サッカロマイシス・ダイアマス(Saccharomyces diaemath)」を発酵過程で使った、というものです。
ちなみに、この「アルタ」はゲール語で「ワイルド(野生)」を意味して……とか書いてもいいんですけれど、結局はコピペになってしまうのでオフィシャルサイトをご覧ください。
正直な感想を書くと、個人的には、好みが分かれるウイスキーだと思います。現行のモーレンジのオリジナルは、割合に軽やかだと思いますが、今回のアルタは、少し重いというか、張り付くような甘さを感じました。あと、ちょっと若さも感じます。
ただ、悪い印象は持ちませんでした。むしろ、「お、久しぶりに樽以外でやってきたか」と楽しめました。
もともとモーレンジと言えば色々な樽を試していたことで知られていますし、レギュラーラインナップについても、色々なバリエーションを出しています。
こうした取組は良いことなんですけれど、近年のプライベートエディションも、やたらと樽関係が多かった印象です。
- 2016年:ミルション:トーストしたポルトガル産赤ワイン樽で追加熟成
- 2017年:バカルタ:マディラ島のマルムジー種のワインカスクで追加熟成
- 2018年:スピオス:アメリカン ライ・ウイスキーカスク熟成
ミルションはお菓子みたいで飲みやすかったしスピオスもスパイシーで面白かったのですが、個人的には、2015年のトゥサイルが印象に残っています。
トゥサイルは、マリス・オッター種の大麦麦芽を使用して、フロア・モルティングもやったよ、というのがコンセプトでした。
ですから、「ほー、酵母に来たか!」とワクワクしたのが今回の「アルタ」でした。モーレンジのオリジナルと飲み比べてみるのも面白いと思いますね。若さも感じたものの、熟成年数としてはオリジナルと同じぐらいじゃないでしょうか?
注意点というか、今回のアルタに関しては時間をかけて飲んだほうが良いと思います。アルコール度数も50%を超えていますし。
早い段階で飲み切ってしまうと、よく分からないまま終わってしまうように思うので、のんびり待ちながら飲まれてはいかがでしょうか。
【酵母について】
ところで、酵母とお酒とは切っても切れない関係がありますが、これまで日本酒やワインといった醸造酒で語られることが多かったと思います。
酒類総合研究所 広報誌:2001年12月1日創刊号
ただ、ウイスキーに関する研究が全くなかったわけではありません。例えば、こんな論文をWeb上で読むことができます。
熊本大学学術リポジトリ Kumamoto University Repository System
「ウイスキーの発酵に使用する酵母の活性と香気成分に関する研究」
http://reposit.lib.kumamoto-u.ac.jp/bitstream/2298/13810/1/34-0063.pdf
私自身は、酵母について何かを語れるような知識を持ち合わせていません。こうした論文などを読んで「そうなのかー」と勉強していくぐらいです。
あと、『もやしもん』を読むぐらいでしょうか。
『もやしもん』1巻168p
講談社 石川 雅之
ちなみに、酵母といえば台湾のKAVALANですよね。 KAVALANをリリースしている「金車(KING CAR)グループ」は、もともとバイオメーカーで、酵母にもこだわっています。
なお、JWRCの土屋さんは、最近は酵母に興味をお持ちのようです。そういう意味で、今年のプロフェッショナル試験には、酵母関係の問題も出されるかもしれません。
土屋さんは、少し前まではシェリー樽に興味を示されており、実際にシェリー関係の出題がありましたし、去年も原産地呼称制度に関する問題が出されました。
今年の試験では、酵母関係の出題があるかもしれません。これからは酵母も重要視されていく可能性がある、と考えて勉強すると良いのではないでしょうか。
【最後に】
3月末に落ち着いていた仕事も4月に入り繁忙期を迎え、意味が分からないような忙しさを迎えていました。「出勤→仕事→帰宅→睡眠」という日も続き、ちょっと心も荒んでいました。
そんな忙しさを「週末はバーに行くんだ」という一心で乗り切って、金曜日に無事に飲みに行けました。おかげでリフレッシュできました。
なお、全く話が変わりますが、4月にちなんだ漫画と言えば『4月は君の嘘』という漫画があります。なかなか切ない話も多くて、読んでいると胸が苦しくなることもある漫画です。
でも、何だかんだで最後まで読みました。良ければ読んでみてください。
では、もう少し続く繁忙期にうんざりしつつ「乗り切ったら何を飲もうかな」と思いながら、本日はこのあたりで失礼させていただきます。
お腹を撫でたら「もっと撫でてほしいなー」とチラ見するピートくんです。