ウイスキーとピート
ピートについて
スコッチウイスキーの個性の一つとして「ピート」が挙げられます。燻製料理を作られる方はご存知かと思います。ピートは簡単に言うと野草や水生植物などが炭化したもので、スコットランドの北部では、ヒースと言う花などが多く炭化したそうです。「泥炭(でいたん)」とも呼ばれ、この写真のように採掘するそうです。
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乾燥させたピートを燃やし、立ち上がる煙を麦にあてます。いわばピートで麦を燻製するわけです。その麦から作られたウイスキーには、煙や薬品など独特の風味が生まれます。この要素を「ピーティー」と言われ、ピーティーさを売りにしているウイスキーもあります。ただし、その風味は千差万別です。
ピートの風味にも色々あります
有名なアードベッグTENとタリスカー10年ついて、公式テイスティングノートを読み比べてみてください。「柑橘類」など同じ表現もありますが、まったく異なる表現も書かれています。
香りに限って比べてみても、アードベッグTENは「薬品のようなフェノール香」というヨードっぽさに言及しています。これに対しタリスカー10年は「生ガキ」や「海水」など汐っぽさに言及しています。
このようにピートにも色々ありますが、全体的にピートの風味が苦手な方もいらっしゃいます。
ウイスキー好き ≠ ピーティーさが好き
ときどき「ウイスキーって何か苦手なんだよね」とお会いします。そうした方にウイスキーの苦手な点を挙げてもらうと「舌がぴりぴりする」や「舌がしびれる」、「野焼きの香りが臭い」や「漢方薬みたいで嫌」のよう答えが返ってくることがあります。これはウイスキーが苦手というよりも、ピートが苦手なんだと思います。
そこで、試しにピートが軽めのウイスキーやピートを焚かない「ノンピート」を勧めると「え、飲みやすい!」と驚かれることがあります。ノンピートのウイスキーは「トミントール」や「オルトモア」などがあります。また、ブレンデッドウイスキーだと、アイリッシュウイスキーの「ジェムソン」や「ブッシュミルズ」はノンピートをウリにしていますね。
ピートタイプとノンピートタイプを作り分けているところは、ラベルに「ピート焚いてますよ」とちゃんと書いてくれることがあります。ご参考までに。
なお、アメリカンウイスキーやカナディアンウイスキーは製法が異なるためピートを心配する必要がありません。また、アイリッシュウイスキーにも「ノンピート&三回蒸溜」というスムースさを売りにしているブランドがあります。ピートが苦手な方には、こうしたウイスキーもオススメです。
おわりに
ウイスキーといっても色々なものがあります。無理せずに、自分に合ったものを飲みたいですよね。最近のウイスキーは、ほとんどがライトピートだと思いますが、ピートが苦手な方は、無理せずにノンピートタイプを飲んでみてください。そのうえで、ライトピートタイプを試せば良いと思います。
ピートが大丈夫な方は、色々と飲んで、違いを楽しむのも面白いと思います。別記事「ピートの強さを求める方へ」と重複しますが、ピートを愛しピートに愛されたウイスキー「オクトモア」もあります。1回は試してみる価値はあると思います。「オルトモア」と間違えやすいので、「スーパーヘビーなオクトモア」と頼むと間違いないと思います。