琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

TWA パナマ 12年(2006-2008)

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THE WHISKY AGENCY ART WORK 
PANAMA RUM 2006-2008
AGED 12 YEARS
アルコール度数:57.5%
熟成年数:12年
種別:ラム酒
地域:パナマ

【香り】

最初はレモンのような強い酸味を感じる果実香だったが、徐々に甘やかな香りが強くはパイナップルやカシスといった果実香のような印象。さらに時間が経つとバニラのような濃厚な甘みが強くなる。さらに時間が経つことでスパイス香が感じられるようになった。

【味わい】

口に含むとまろやかな印象。上品な甘みのなかにやわらかな酸味がゆっくりと広がる。余韻は中程度。酸味と甘みが共存する温州ミカンのような果実味とスパイシーな刺激がバランスよく続く。

非常に飲みやすいと感じた。ラムを初めて飲む方でも美味しく飲めるのではないだろうか。

【謝辞】

今回のサンプルボトルはポートシャーロット探窮部ことポニキ(ポニキ (@W2dPCbot))さんからいただきました。

ずいぶんと遅くなってしまいましたが、ありがとうございました。

【もう少し詳しく】

ドイツのボトラー「ウィスキーエージェンシー」さんががリリースしたパナマラムです。ボトルに色鮮やかな鳥と花が描かれています。

UDの「花と動物(Flora&Fauna)」シリーズが好きなので、こういうラベルは心惹かれます。

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まずはパナマについて。正式名称は「パナマ共和国」です。

南米大陸北米大陸を結ぶ交通の要所です。「パナマ運河」を聞いたことある方も多いでしょう。場所はこちらです。

公用語スペイン語です。パナマスペイン語が話されている理由は、1500年ごろにパナマがスペインに植民地されたからです。

植民地支配とラム酒を結び付ける物は「砂糖」です。ヨーロッパにおいて砂糖は高値で売れたため、生産量がぐんぐん増加していきました。そして、砂糖を造る際の副産物である「糖蜜」を使ったお酒が「ラム酒」だったわけです。 

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そのため、旧宗主国*1ごとにラム酒の製法と味わいの傾向が異なる傾向にあります。『ラム酒大全』によると、こんな感じだそうです。

イギリス系(RUM):「エル・ドラド」「アプルトン」など

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フランス系(RHUM):「バルバンクール」「ダモワゾー」など

  • ブランデー(コニャック)の製造技術がベース。使用される等級も「V.S.O.P」や「X.O.」などが使われることが多い。

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スペイン系(RON):島ものは「ブルガル」など、大陸ものは「ロンサカパ」など

  • 島ものと大陸ものに大別される。島ものはキューバのラムと似ている。大陸ものはボディが厚く、甘みを感じることが多い。

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ちなみに、パナマラム酒の有名どころだと「アブエロ(Ron ABUELO)」「マレコン(Malecon)」、あるいは「ザフラ(ZAFRA)」あたりです。

ラム酒を飲み比べるときは、こうした違いを考えて飲むのも面白いですね。また、ラム酒入りのお菓子も、ラム酒の銘柄で味わいが変わります。

色んなラムを試してみるのも面白いですね。

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【雑感】

どんなジャンルの飲み物でも、最初の出会いが肝心だと思います。私の場合は残念ながら、最初に飲んだラム酒の印象が良くなくて「ラムは美味しくない」と思い込んでしまいました。*2

そういうわけで、初めて飲むなら、やはり甘めのラムが良いと思います。例えば「パンペロアニベルサリオ」はいかがでしょうか?

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そこそこ大きめの酒屋さんで見かけます。気になるお値段は3000円程度で、フロムザバレルぐらいです。まあまあの値段ですが、大手の酒屋さんに行けば買える点も魅力的です。

ちなみに、以前にパンペロについて書いたものがあるので、良ければご参照ください。

amberlover.hatenablog.jp

ウイスキーもブランデーもラムも買おうとすると、保管場所とか色々と大変なので、「これは欲しい!」と思ったものだけ買うように気を付けています。

ちょっとずつ飲み比べができたら楽しいですよね。東京在住の方は、銀座のリカマンさんに行けて羨ましい限りです。

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単体で飲むのが苦手な場合は、アイスクリームに垂らしてみると美味しいと思います。あとは、寒い季節ならではのホットカクテルに使うのも良いですよね。

ショコラと一緒に楽しむのも、なかなか面白かったので是非お試しください。

amberlover.hatenablog.jp

【PCゲーム「大航海時代III Costa del Sol」】

お酒を飲むのに難しい蘊蓄は不要ですが、その一方で、お酒の歴史は世界史と密接に関係があります。

例えばウイスキーの歴史は戦争と密造に密接な関わりがあるし、ワインの歴史は農業と饗宴外交の歴史です。そして、ラムの歴史と言えば植民地支配(と海賊)の歴史でしょう。

日本ラム協会さんのページへのリンクを貼っておきます。

rum-japan.jp

植民地支配は苛烈でした。先住民を生きたまま火あぶりにすることもありました。先住民であったカリベ族は、過酷な労働やヨーロッパ人がもたらした病気に耐えられず、ほとんど絶滅してしまいました。義星の男でなくとも「てめえらの血は何色だーっ!」と叫びたくなります。

ここで思い出したのが、かつてコーエーが発売したパソコンゲーム大航海時代III Costa del Sol」です。

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このゲームの初回ロット版には「奴隷」という品目がありました。しかも奴隷が「腐る」んですよ。これには強い衝撃を受けました。*3

こちら↓の記事が読みやすいので、リンクを貼っておきます。

sirabee.com

私はインドとポルトガルを往復して香辛料で金儲けをしていました。ときどき海賊が襲ってきますが、返り討ちにすれば船もパクれます。来いよベネット、船なんて棄ててかかってこい!(速射砲をぶっ放しながら)

全体的に自由度の高いゲームなので、いくらでも楽しめます。「うちの国に入るな!」と言われたら攻め落とせるし、怪物と戦えるし、酒場の女性も口説けます。

レトロゲーなのでOSとの互換性が難点ですが、色々対策すればWindows10のPCでも動きます。今でも面白いと思うので、機会があれば是非お試しください。

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【おわりに】

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以前にも書いたように「ラムは奥深いなあ」と思う反面、ボトルを買うのは躊躇われる部分もあります。

あらためてポートシャーロット探窮部ことポニキ(ポニキ (@W2dPCbot))さんに御礼申し上げます。ありがとうございました。

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前回の更新から随分と日が経ってしまいましたが、おかげさまでノチーノさんも、すっかり我が家に慣れてくれました。

3匹の世話は思ったよりも大変で、なかなかブログを更新できませんが、楽しい日々を過ごしています。

【参考にした図書およびWebサイト】

*1:旧宗主国」とは、かつて植民地を支配した国のことです。

*2:初めて飲んだラムは、確かマイヤーズのダークラムだったと思います。その後、バーで色々と飲ませていただいて「ラムも美味しい」と思えるようになりました。

*3:さすがに「これはヤバいだろ」ということで、修正が加えられました。ただ、アステカ王国インカ帝国は滅ぼすことができるなど、負の側面もきちんと描かれています。