モストウィー 20年 マキロップスチョイス1979-1999(終売品)
MOSSTOWIE
Mackillop's Choice 1979年6月29日-1999年10月
熟成年数:20年
容量:700ml
アルコール度数:59.4%
国:スコットランド
地域:スペイサイド
種別:シングルモルトウイスキー
【香り】
アルコール度数が高いためか、最初は香りが単調に感じる。時間が経ってアルコールの刺激が落ち着いてからは柔らかいシェリー。アニス。パイナップルのような香りもあるか?
強く嗅ぐと、砂糖菓子のような甘さを感じた。
【味わい】
アルコール度数の高さからくる鼻に抜ける刺激。イチゴキャンディのような人工的な甘さ。ミントのような清涼感と少しの鋭い苦み。
あまり広がりは感じられず、後味は滑らかに収束し、キレが良い。余韻は短めだが柔らかな甘みが細く続く。
【もう少し詳しく】
購入した時期を忘れましたが、かなり前のことです。当時の私は、モストウィーを知りませんでした。調べるとミルトンダフ蒸溜所で、かつて作られていたモルトウィスキーでした。
ミルトンダフ蒸溜所の所在地はエルギン近くです。そして、下の地図の北西に「MOSSTOWIE」が見えますね。
ミルトンダフは、率直に言って目立つモルトウイスキーでは無いと思います。ただ、バランタインの原酒に使われていることは有名ですね。また、今年の1月に「ミルトンダフ15年」が発売されたことは、まだ記憶に新しいですね。
モストウィーに話を戻します。モストウィーは、ほとんどがバランタインの原酒に使われていたことに加えて、1981年に設備が撤去されたことから、現在ではミルトンダフよりもさらにマイナーというポジションです。
その特徴は、ローモンドスチルで蒸留していたことです。
「出たな、ローモンドスチル!」という感じです。インヴァーリーブンの感想を書いたときも少し触れましたが、おおよそこんな感じの蒸溜器です。円筒形のスチルで棚板を使うとのことで、構造で連続式蒸留器と似ている部分がありますね。
上述の通りミルトンダフ蒸溜所のローモンドスチルは撤去済みなので、ロッホローモンド蒸溜所のものを引用させてもらいます。
A photograph of the still inside Loch Lomond Distillery in Alexandria.
「ミルトンダフ⇔モストウィー」のように、同一蒸留所の別ブランドとしてはグレンバーギ蒸溜所の「グレンクレイグ(Glencraig)」が挙げられます。こちらも1981年に撤去されています。
この理由については、以下のようなものだそうです。
いくつか技術的な問題があったのに加えて、グレンバーギーとミルトンダフの需要が大きく増加したのが主因であった。
ローモンドスチルはスキャパ蒸溜所でも初留で使われています。少し改造されているそうですが、Webサイトでも触れられているので、ぜひご参照ください。製造工程の「3.蒸留」に出てきます。
ちなみに、このローモンドスチルに関連する問題は、コニサー試験にちょこちょこ出題されています。
〇平成26年:記述式問題
→モストウィーの名前を書かせる記述式問題〇2015年:選択式問題
→蒸溜所と、そこのブランドの組み合わせを問う選択式問題に「Glenburgie-Glencraig」が出てくる。2017年 :選択式問題
→選択肢に「グレンバーギーでモストウィーが作られていたか?」というものがある。
グレンクレイグもモストウィーも、もともと数も少なくなかなか見つからない銘柄ですが、全く見かけないわけではありません。
「流通している以上は知っておいてね」ということなのでしょうね。
さて、モストウィーに話を戻します。先日、信濃屋さんがプライベートボトルでモストウィーを販売されましたね。マキロップスチョイスと同じ1979年の樽詰めだったので、記憶に残っています。
もっとも、信濃屋さんのほうは1979年の樽詰めでも37年熟成と長熟です。お値段は43,092円(税込)。非常に高価ですが、希少性とヴィンテージを考えると、べらぼうに高いものではないと思います。
マキロップスチョイスは何種類か飲んできましたが、「あれ?」と思うボトルもあったし、口コミを見ても意見が分かれるボトルもリリースされているようです。大手酒販店で叩き売られていた時期もありました。
それでもマキロップスチョイスを購入した理由は、やっぱり「シェリー樽×ローモンドスチル」に惹かれたからですね。シェリー樽のモストウィーは他にもリリースされているとのことですが、私が遭遇できたものは今回のマキロップスチョイスだけです。
だから「これを逃せば、シェリー樽のモストウィーは飲めないかも」と思って購入しました。
イチゴキャンディっぽい風味が拾えた一方で、ドライフルーツのような濃厚な香りは感じられませんでした。また、パイナップルっぽさも感じるなど、シェリー樽のみで20年熟成というわけでもないのかな?とも思いました。
個人的に興味深いのは、シャープでキレが良い後味です。なんとなくアイリッシュに似ているな?と思ったのですが、これはローモンドスチルの特徴なのでしょうか。
モストウィーについて調べると「ミルトンダフよりも重い」という旨の話も見かけますが、今のところはそんな印象ではありません。
もっとも、最近は秋の花粉症のせいか少しぼんやりしていることもあります。そういう意味でも、感想を交流させながら飲みたいウイスキーだと思いました。そんなことを考えながら、本日はこの辺で失礼します。