【追記あり】ブッカーズ そしてコルクとバーボンについて思うことなど
Booker's
容量:750ml
アルコール度数:63.50%(127.0アメリカンプルーフ)
熟成年数:6年9か月
種別:バーボンウイスキー
地域:アメリカ
備考:カスクストレングス
【 香り】
バニラや蜂蜜、キャラメルなどの、甘く濃厚な香り。やや揮発性の溶剤のような香りもあるが、アクセント程度で不快ではない。
時間が経つと、ハーバルな香りとともに、烏龍茶の茶葉のような香りや穀物の香ばしさも感じる。また、奥の方から、木材の香りを強く感じる。
【味わい】
粘性を感じる口当たり。アタックは強烈だが、刺激そのものは強くはない。口に含むと、柔らかい甘みとともに、チェリーのようなフレッシュな甘酸っぱさを感じる。また、穀物を蒸したような要素も感じる。
余韻は一転してスパイシー。また、ナッツの皮の部分のようなほろ苦さを感じる。やがて渋味へと変化して、時間をかけてゆっくり消えていく。
【コルク折れを防ぎましょう】
先日コルクが折れてしまった方の画像を見て「ああ……」と悲しくなりました。寒くなってきたこの時期、本当にコルクが折れやすくなるんですよね。
特に酒精強化ワイン系のやつとか、ハイプルーフのバーボンなんかは、コルクが瓶にへばりつきます。
そんなわけで、開栓済みのブッカーズを取り出してきました。案の定というか、コルクが動きません。このまま引き抜くと、折れるかもしれないパターンです。
まずは、毎回恒例の何をしているか分かりにくい写真。濡れタオルを電子レンジでチンして、「おしぼり」を作っています。
そして、湯気が立つおしぼりを、ネック部分に巻き付けます。温度を上げることでコルクと瓶を剥離します。同時に、瓶の内気圧を高めることでコルクを下から上へ押し上げる力を作ります。
ちなみに、このとき顔を拭きたくなります。でも、我慢します。拭いたら、たぶん解放感に満ち溢れて、色々どうでも良くなるので全力で我慢します。
温まるのをじっくり待ってから、コルクを引き抜きます。このとき、真上に引き抜こうとすると、笠の部分から折れる危険性があります。
コルクを右に左に動かして、瓶内に空気を入れながら、ゆっくり引き上げていってください。このあたりは、他のブロガーさんの記事を参考にしながら実践したまとめがあります。良ければご参照ください。
上手に抜けましたー!
では、本題のブッカーズの話に移ります。
【もう少し詳しく】
ブッカーズについては「ハイプルーフな超プレミアムバーボン」みたいな話を、ときどき見聞きします。
確かにアタックは強烈です。どかーんと来ます。押し寄せます。カスクストレングス初体験の方は、むせるかもしれません。むせなくても、喉がカーッと焼けるような刺激は感じるはずです。
ただ、そこを強調してしまうと非常にもったいないウイスキーだと思います。
アタックが強烈すぎると感じる方は、少しずつ口に含むことで、勢いを和らげることもできるでしょう。時間をかけて変化を楽しむのもカスクストレングスの醍醐味だと思います。
また、少しずつ加水していき「これだ!」という度数を探るのも、また面白いと思います。
私個人は、ブッカーズはオンザロックで飲むのが大好物で、最も美味しい飲み方と思っています。ストレートで飲むのも良いのですが、私は、氷が少しずつとけることで生じる味わいの変化を楽しむのが好きなんです。
特に、グラスに注いだ直後の液体が冷え切らないタイミングは、芳醇な香りが一気に出てきて、とても幸せな気分に浸れます。
もちろん「Bourbonはストレートこそ至高だぜ!」って意見も、よく分かります。「バーボンはラッパ飲みが美味いんだ」と仰る方とお会いしたこともありますし、バーボンと聞いてスキットルを思い浮かべる方も多いでしょう。
例えばキャンプ場で火を起こして、揺れる炎と昇る煙を眺めつつ、爆ぜる木の音をBGMにウイスキーを飲む。いかがでしょう?飲みたくなりませんか?
私はインドア派なので焚き火動画で満足していますが、機会があればスキットルを引っ張り出して飲みたいですね。
【以前に流れた「終売」の噂と今後について】
さて、少し話は変わって、2018年8月号の『WhiskyGalore』誌を引っ張り出してきました。この号ではアメリカンウイスキー特集が組まれていました。
特集というだけあって、しっかりとページを割いてありました。最初はマスターオブモルトの方々のテイスティングと対談で、後半は「アメリカンウイスキーカタログ」というものでした。バーボン初心者の私は見たこともないものもたくさんあって「こんなのあるのかー」と楽しみながら読んでいました。
で、ぱらぱらーっとページをめくり、ジムビーム関連のバーボンがいくつか登場するページを開いたとき「あれ?」と思ったんですね。このページです。
無いんですよね、ブッカーズが。ジムビームのプレミアムバーボンと言えば、以下の4つが挙げられるでしょう。
ブッカーズ以外は掲載されているんですよね。やっぱり、今後も少し不透明なのかもしれませんね。
【12月13日追記】
Twitterでフォローしてくださっている方が「ブッカーズは終売ではないですよー」という情報をくださいました。
日本での販売は年一回、アメリカでの販売は年四回であるとのことです。また、日本向けはラベルも変わったのだとか。
こうやって詳しい方から教えていただけるのはありがたいことで、SNSならではですよね。
教えてくださって本当にありがとうございました!
【追記ここまで】
【バーボンについて思うことなど】
ブッカーズは、今ではネットショップで16000円とか見かけますが、かつては5000円前後でした。まだウイスキーブームも到来せず、大手スーパーでも大量に在庫がありました。
というのも、ターキー8年やエライジャ12年、エヴァン12年が2000円台で買えた時代で、5000円台だと、確かメーカーズのブラックトップのように、かなり良い感じのバーボンが買えたわけです。
ところが、前回も触れたとおり、バーボンも原酒不足の荒波が押し寄せ、ノンエイジ化と高価格化の2極化が広がっていることを実感します。
もっとも、ノンエイジでも「ストレートバーボン」と書かれたノンエイジは4年以上は熟成されています。これはエライジャ12年をまとめたときに触れました。
4年以上の熟成だと年数を書かない理由については諸事情があるのでしょうが、4年表記のバーボンと12年表記のスコッチだったら、スコッチの方がお得感が出てしまうことに対抗するため、という話も聞いたことがあります。
そもそも、バーボンは、スコッチと比べて熟成が早いと言われています。ケンタッキー州は寒暖差が激しく、更にラック式の高層貯蔵庫が主流派です。
暖かい空気は上昇するので、それは確かにそうですね。*1
以前お会いしたバーテンダーの方から「バーボンの年数を3倍して、スコッチと比べたら良いですよ」と伺ったことがあります。
なんだか「剣道三倍段」みたいな話ですし、その真偽は定かではありません。ただ、ストレートバーボンの年数表示基準が4年ですし、スコッチのスタンダードに12年が多いことから、あながち間違いとは言い切れないとも思います。
そんなわけで、ブッカーズのように、6年から8年熟成の原酒を「ストレートフロムザバレル」、つまりカスクストレングスでボトリングして5000円というのは、確かに安すぎる気もします。もちろん安いのは嬉しいんですけど。
私が、次の品薄状態*2を心配しているのがベイカーズです。これも昔は3000円ぐらいだったんですが並行品でも4000円を超えてきています。サントリーさんのイエノバだと6000円ですね。
もちろん、ブッカーズとベイカーズは、カスクストレングスかどうかという部分も含めて色々と違う部分があります。公式のコメントを読んでも、方向性が異なることが理解できます。
ベイカーズ
- 7年の熟成期間を経たバランスの良い味わい
- 6年から8年熟成した樽を厳選してつくられる(略)フルーティでありながら独特のほろ苦さを持ち、力強い味わいが特長
他にも、貯蔵場所の違いについても、9段積みのラックのうち、ブッカーズは4~5段、ベイカーズは8~9段に貯蔵された樽を使っているという話もあります。
ですから、「ブッカーズが無いならベイカーズを飲んだらいいじゃない」というものでもないことは確かです。
ただ、ベイカーズも海外通販サイトを覗くと「Sold Out」となっているところもちらほら見受けられるます。そんなわけで、今後、何かしら制限がかかってくるんじゃないかなと心配しています。
もちろん、ベイカーズが終売になるという話は聞きません。私の妄想の域を出ない話なのですが、何せ富士山麓の終売があったばかりです。
私の妄想で済めばいいなあと思いながら、今日はこのあたりで失礼します。
※誤字脱字等を修正しました。