琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

「ぐれんがりおっほ」の思い出とグレンギリー15年 (1990年代後半~2010年)

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GLEN GARIOCH 15YO(1990年代後半~2010年)

シングルモルトウイスキー
・最低熟成年数:15年
・アルコール度数:43%
・容量:1000ml

【香り】

 ハーブのなかでもラベンダーのような香り、その後は少しミントのようなニュアンス。イーストや麦のような香りには、やや湿り気を感じる。また、しっかりした骨格を予感させるスモーキーな香りもある。

【味わい】

  舌触りは少しとろりとした感じがある。石鹸のような香りは漂うものの、スモーキーで太い風味。麦やイーストの要素もしっかりと感じる。後味も木香やピートを含んで長く続く。

【留意していただきたいこと】

 手持ちの資料をまとめると、グレンギリーのオフィシャルボトルにカラーの鹿が描かれ始めたのは1990年代後半で、鹿がいなくなるのは2010年のようです。

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 カラーの鹿が描かれた時代のグレンギリーの香りは独特だったようで、確かに同じラベルのグレンギリー12年も同系統の香りを感じます。

 この香りについては後述しますが、私はこの香りがあまり得意ではありません。

 ただ、色々と飲んでいくことで、多くの要素を拾えるようになりました。また、今回の15年は12年と比べてかなりスモーキーなこともあって、独特な香りをほとんど感じずに飲むことができました。

【もう少し詳しく】

  作家の開高健さんがお好きだったことでも知られているGLEN GARIOCHは「グレンギリー」と表記されることが多く、私も「グレンギリー」と書いていきます。ただ、エディンバラ大学のwavファイルでは「グレンーリ」とも聞こえます。また、若干ですが「グレンーリッ」とも聞こえます。
http://www.dcs.ed.ac.uk/home/jhb/whisky/sounds/g_garioc.wav

 所在地域はハイランドです。グーグルマップでグレンギリー蒸留所の写真を見ると、とてものどかな場所に建っていることがわかります。近所にはゴルフ場「オールド・メルドラム・ゴルフ・クラブ」もありますね。

 創業は1785年とも1797年とも言われていますが、裏ラベルを見る限り公式としては1797年が創業年だと謳っていますね。
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 いずれにせよ、グレンギリーはハイランドでも最古蒸留所の1つと言われるほど長い歴史を誇ります。ただ、その道のりは次々とオーナーが変わったり閉鎖されたりと、波乱万丈でした。特に問題となっていたのは仕込み水不足でした。

 しかし、1968年にグレンギリーを買収したスタンリー・P・モリソン社(後のモリソン・ボウモア社)が深い井戸を掘り、それ以降は仕込み水には困らなくなったとのことです。*1

 1994年にはサントリーがモリソン・ボウモア社を買収したことから、グレンギリーの所有権もサントリーに移り、現在に至ります。

 そんなグレンギリーに私が出会ったのは、今から15年ほど前のことです。

「『ぐれんがりおっほ』ください」

 10年以上も前に、私は小さな酒屋で鹿ラベルのグレンギリー12年を買いました。安売りされていて2000円ぐらいだったと思います。当時の私は「GARIOCH」が読めなくて「この、えーと、ぐれんがりおっほください」と酒屋の老店主に言った記憶があります。家に帰って読み方を知ったときは、すごくびっくりしたことを覚えています。こんな備忘録を書いていますが、所詮はこんなもんです。

 さて、私が購入した「ぐれんがりおっほ」なるものは、これです。10年以上経っても、鹿の首ぐらいまで液面があるのが見えますでしょうか?

f:id:pasapasadayo:20180214140424j:plain グラスに注ぐと独特な香りが漂っていて、私はその香りがどうにも苦手でした。しかし、調べてみると皆さんグレンギリーを高く評価されています。「もしかして自分の感覚はおかしいのだろうか?」と悩んだ時期がありました。

 でも、調べていくにつれてわかったことがあります。それは、この鹿ラベル時代のグレンギリーは独特なパフューム香があって、好みが分かれていたということです。そこで、今回は一念発起して近所の酒屋で売れ残っていた同じラベルの8年を買ってきて飲み比べました。ちなみに、8年は度数が40%、12年は度数が43%です。

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 確かに石鹸のような香りはあります。また、やや湿っぽさも感じられます。ただ、石鹸香以外の要素もしっかりと拾えました。特に、フィニッシュに感じるピートをしっかり拾えたことに驚きました。

ポイントは、15年が骨太だったことと自分が拾える要素が増えたこと

 今回、グレンギリー15年を飲んだ場所は、お世話になっているバーでした。もともと別のウイスキーを飲んでいたのですが、バーテンダーの方が「これ、どうですか」と勧めてくださいました。

 12年で苦手意識があったので躊躇いましたが、15年は飲んだことがなかったので飲んでみたわけです。すると、12年と同様の傾向は感じるものの、がっしりとスモーキーで太い風味でした。なるほど、これならギリーが好きな人も多いはずだと納得できました。そのうえで、あらためて12年や8年を飲んだところ、石鹸のような香りも感じましたが、麦の要素やしっかりしたピートを感じられるようになっていました。

 好みは変わっていくし、色々と飲むことで経験値が上がると多様な要素を拾えるようになることを実感しました。10年越しの新発見で、かなり嬉しかったです。

 そんなわけで、グレンギリーの8年と12年についてもまとめていこうかなーと思っています。

  ちなみに現行のグレンギリーは、ほぼノンピート主体だそうで、そっちも飲んでみたいなぁと思っています。

*1:シングルモルトの愉しみ方』田中四海、吉田恒道 学研プラス