ピートが苦手な場合【追記有り】
別記事の「スコッチウイスキーと『ピート』」でも書いた通り、ピートに関しては好き嫌いが分かれます。ピートが苦手なら無理せずに、自分に合ったウイスキーを美味しく飲めば良いと思います。
ちなみに、こちらはウチのピートくんです。
- はじめに ~個別の指定は難しい~
- ラベルに「ピート」の表記があれば避ける
- 主な原材料がトウモロコシのウイスキーを試す
- 甘さが欲しいなら甘いものと合わせる。
- チョコレート
- ドライフルーツ
- 食事と合わせる。
- ちなみに、ウイスキーの「カラメル」添加について
- おわりに
はじめに ~個別の指定は難しい~
例えば、仮に「飲みやすいウイスキーはスペイサイドです」と言ったとしましょう。ここでのスペイサイドは地域名で、マッカランがある辺りを指します。スペイサイドには50以上の蒸留所があるし、比較的あながち大きな間違いは無いはずです。
しかし、ウイスキー愛好家の方々からは意見や疑問が次々に出てくるはずです。
<<イメージ図>>
『もやしもん』1巻168p
講談社 石川 雅之
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「ハイランドでもモーレンジやブラックラ、グレンゴインは飲みやすいじゃん」
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「って言うか、そもそもスペイサイドはハイランドの一部じゃね?」
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「アイラでもラディならいけるんじゃないかな」
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「待て待て、キャンベルタウンを忘れるなし。ヘーゼルバーンあるし、マッサンの聖地だぞ」
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「お前らスコッチに絞ってんじゃねーよ、バーボンあるだろバーボン」
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「アイリッシュ美味しいですー」
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「(カ……カナディアン……)」
などなど……。私でも、すぐにこれぐらいを思いつくので、もっとたくさんあるはずです。そこで、この画像左下のセリフ「とりあえずかもすか」じゃないですが、「とりあえずピート要素を外すか」と思った次第です。
ちなみに、「もやしもん」はお酒の勉強にも良い本です。どちらかというと日本酒が中心だとは思いますが、発酵などの豆知識も多いし、オススメですよー。
ラベルに「ピート」の表記があれば避ける
当たり前の話かもしれません。でも、ラベルを見ずにカゴに入れている方は、意外に多く見かけます。確かに、現在発売されているウイスキーの多くはピートは軽めなのであまり考える必要は無いのかもしれません。
クセの無い方が飲みやすく、より多くの層に売れる可能性が高いからでしょうね。
その一方で、わざわざ「ピート焚きましたよ」という表記をしているウイスキーがあります。蒸留所名と同じ場合もあれば、別ブランドとして販売することもあります。
左:グレングラッサ蒸留所 :グレングラッサ オクタヴ ピーテッド
中:スプリングバンク蒸留所:ロングロウ CV
右:トミントール蒸留所 :オールド・バランデュラン10年
こうしたボトルは「ピート焚きましたよ」と表示するだけあって、けっこうピートが主張する傾向があります。苦手な方は、避けるべきだと思います。
なお、ピートが強烈なウイスキーでも、熟成が長期間にわたるとマイルドになることがあります。お値段はシビアですが、機会があればチャレンジしてみてください。
主な原材料がトウモロコシのウイスキーを試す
主な原材料がトウモロコシのウイスキーについて、トウモロコシの使用比率は以下の通りです。*1
手元にある写真を張り付けました。左から
カナディアン :カナディアンクラブ ブラックラベル 8年
バーボン :フォアローゼズ ブラックラベル
バーボン :ジャック ダニエル ブラック(Old No.7) *3
ちなみにバーボンウイスキーは、よく「男の酒」と言われますが、甘さもあって飲みやすいものも多いです。「もっぱらバーボンを飲んでいます」とか「やっぱりバーボンじゃなきゃね」という方にしばしばお会いしますし、ウイスキーフェスティバルでもバーボンオンリーの方も見かけます。
バーボン :ワイルドターキー トラディション 14年
最近はブッカーズが品薄になるなどバーボン全体の人気が上昇しているので、飲めるうちに飲んでおきたいですね。
また、コーンウイスキーも飲みやすいですね。
コーンウイスキー:プラットヴァレー
【2018年3月31日追記】
飲みやすいカナディアンウイスキーを見つけたので、追記します。
【追記おわり】
甘さが欲しいなら甘いものと合わせる。
「ウイスキーは甘さが足りないと思うんだ」と言われたことがあります。確かに、そういう面はあると思います。ただ、原料が麦であるウイスキーを、こてこてに甘くすることには限界があると思います。
ですから、「甘党に送るウイスキー以外の選択肢」で書いたように、他にも色々なお酒を選んでみるのも一つの方法です。
ただ、「やっぱりウイスキーを飲みたいんだ」という方がいらっしゃるかもしれません。そんな場合は、甘いものを食べながらウイスキーを飲んではいかがでしょうか?
チョコレート
ウイスキーとチョコレートの組み合わせに関しては、以前からサントリーが力を入れています。
上の写真は2014年に山崎蒸溜所で行われた「ウィスキーとショコラのマリアージュ体験」です。このときは「山崎」と「白州」の2つに焦点が当てられましたが、現在は専用webを開設していて、サントリーが扱うウイスキーに合うチョコレートについて表をまとめてくれています。
私も試してみました。確かに、意外にボウモアとビターチョコの組み合わせは良かったです。でも、ミルクチョコとも合うと思います。
「アイラモルトを飲みたいけれど、ピートがキツいんでしょ……?」とためらっている方は、チョコを片手に試されてはいかがでしょうか?
ドライフルーツ
全体的に甘みが強いものの、触感や甘さは多種多様なので、どのドライフルーツを合わせるかは意見が分かれるでしょうし、私も色々と試している最中です。*4
あれやこれやとボトルを買うより、色々なドライフルーツを試すほうがお手軽なので、お好きな組み合わせを探すと楽しいです。ちなみに写真ではナッツも一緒に試しています。
ちなみにドライフルーツとウイスキーに着目している方は多いです。例えば、Ballerさんにも以下のような記事がありました。
なお、ニッカは食べ合わせではなく、そもそもフルーツを漬け込む「漬込みウイスキー」を推しています。ウイスキーを楽しむというより、ウイスキーを活用するという路線になるし、果物は安くないのでちょっとハードルが高そうな気もしますが、試す価値はありそうですね。
食事と合わせる。
ウイスキーは食後酒という位置づけが強いと思います。その一方で、キリンは食事とウイスキーを合わせることに重点を置いているようです。ワインのマリアージュと同じ発想でしょうね。「豚の角煮とバーボンのI.W.ハーパー」とか「牛肉しぐれ煮とホワイトホース」などを挙げています。
個人的にはウイスキーをメインに味わいたいと思いますが、ピートが苦手な場合は、より強い味で覆ってしまうという発想は悪くないのかもしれません。
ちなみに、ウイスキーの「カラメル」添加について
本題から少し外れますが、ときどき「甘いウイスキーってカラメルが添加されてるからでしょ?」と言われます。確かにスコッチにはカラメル添加が可能です。ただし、EUの規定で用途は「着色料」に限定されています。*5プリンのカラメルが入っているわけではありません。
なお、バーボンは、連邦アルコール法の規定でそもそも水以外の添加は認められていません。
おわりに
長くなってしまいましたが、飲み方と同じで色々な発想で美味しく飲めるようになることがあると思います。「コレとコレの組み合わせが美味しかったよ!」とか「コレと合わせたら飲めたよ!」という例があれば、教えていただけると勉強になります。
*1:実際は樽や熟成年数などの細かな規定がありますが、割愛します。
*2:カナディアンの例外については、例えば1990 年に創業されたグレノラ蒸留所ではボウモアの技術を参考にしてシングルモルトウイスキーを製造しています。
*3:バーボンの要件に、①テネシー州産であること②チャコールメローイング製法であること、という2つの要件を満たす必要があります。バーボン以上にテネシーウイスキーという表現をされる方もいらっしゃいます。シャンパーニュはスパークリングワインでもある、と似たような感じですね。
*4:味や香りが同系統のものが好みすが、例外もあります……。
*5:スピリッツカラメル(E150)に限定されています。