ウイスキープロフェッショナル 官能試験 本番の様子と注意点
前回は「ウイスキープロフェッショナル試験の官能試験って、どんな内容なの?」という部分についてまとめました。
今回は、今年の5月に行われた官能試験の当日について、その雰囲気と私が気をつけたこと、失敗したことをまとめました。
次年度も当てはまるかどうかわかりませんが、一つの情報として参考にしていただければ幸いです。ただ、試験の様子は撮影していないので、文章中心です。そこで、今回は目次をつけておきます。
官能試験の様子と注意点
始まるまで
筆記試験が終わったあと、いったん部屋から退出させられました。そして、部屋の外で少し長めの休憩時間となりました。
部屋に戻ると、机の上に無地のテイスティンググラスが4つ置かれていて、A、B、C、Dと書かれた紙が貼られていました。また、プラスチップのフタが付けられていました。この他、500mlペットボトルの水と紙コップが用意されていました。
なお、土屋さんのブログで、集中セミナーの様子が紹介されている記事があります。異なる部分もあるのですが、雰囲気はつかめると思います。
始まってから
制限時間は60分ですが、「4つで60分だから、1つ15分だな」という単純計算は、お勧めできません。前回と重複しますが、私は1つ10分と考えていました。その理由は、次の2つです。
- 時間不足で焦らないようにするため。
- 鼻が利かなくなってくることが予想されるため。
特に2つ目に関しては、時間が経てば経つほど影響が大きくなってくると考えました。
近くの受験者のウイスキーから、香りが流れてくる。
試験会場はちょっと大きめの会議室でした。そこに数十名が着座し、前後左右にウイスキーが置かれている状況でした。こんな感じです。
仕切りも何もない部屋です。それが一斉にテイスティングが始まると、どうなるのか?アルコールの匂いが前後左右から流れてきました。
「周りから匂いが流れてきたら、テイスティンググラスに鼻を近づければ良いじゃん」と思われるかもしれません。ただ、そうすると刺激が強くなります。私の場合、強い刺激を受けると鼻が疲れてしまうんですね。
そういう意味からも、鼻が利いているうちに、香りや味わいをどんどん拾っていく必要があると考えて、1つ10分という計画を立てました。
テイスティングする順番について
では、どの順番でテイスティングするのか?実際に考えてみましょう。
今回の試験では、外観をチェックしつつグラスに鼻を近づけ、後回しにするべきものはどれか考えました。
確か、第一印象はこんな感じです。*1
さて、あなただったら、どの順番でテイスティングしますか?私は、以下の2つは大事だと思います。
普段からウイスキーを飲まれる方は、「そんなの当たり前じゃん」と思われたことでしょう。軽いものから重いものへ、淡いものから濃いものへ移っていくのは、ウイスキーを飲む際にも当てはまることですよね。
私の場合は、BとCは嗅覚と味覚がマヒしてしまうおそれがあると考え、後回しにしました。Dも香りが強かったので迷ったのですが、結果的にA→D→B→Cの順番に考えていきました。
鼻を長持ちさせるために
ただ、やっぱり途中から「あー、鼻が疲れてきているな」と感じることがありました。そこで、いくつか鼻をリセットするためにやったことがあります。それは以下の二つです。
- 水を使う。
- 自分の腕や手首の匂いを嗅ぐ。
水を使う。
500mlペットボトルの水が1本、紙コップが1つあります。その水で口の中をゆすいだり、水の匂いを嗅ぐことで、ある程度リセットできます。
もちろん、加水されたい方は、その分の水を残しておく必要がありますね。
ちなみに、置かれていた水はサントリーさんの某天然水でした。普段から、その水を使うのも良いでしょうね。
自分の腕の匂いを嗅ぐ。
「えー……」と思われた方もいらっしゃるでしょう。ただ、これはワインやコーヒーのテイスティングをされる方から「嗅覚のリセットは、嗅ぎ慣れた物を使うと良いですよ。私だったら、腕のにおいをかぎます」と教えてもらった方法です。やっぱり自分の匂いがデフォルトですもんね。
とにかく鼻に空気をたっぷりと入れて、ゆっくり吸い込む。普段であれば「なんで腕の匂い嗅いでるの……」と言われるかもしれませんが、試験なので大丈夫です。誰も見ていないはずです。心おきなく、吸い込んでください。
私が失敗したこと
さて、ここまでそれらしきことを書いてきました。いいことばかり書いてきました。でも、本番に失敗もしています。
「ばーかばーか」と笑っていただき、「お前みたいな失敗やらねーし」と思っていただければ幸いです。
それは、サンプルBをテイスティングしているときでした。「色も粘性も度数も、カリラ12年に当てはまるぞ」と考えた私は、なぜか少量加水をすることに決めました。本当に、なぜ加水しようと思ったのか、今でも不思議なんですが、とにかく加水しました。これが、いけなかったんです。
少量加水のつもりが、ぼたぼたぼたーっと……。トワイスアップどころの騒ぎじゃありません。消える香り、薄まる味わい。さよなら、ウイスキーの個性。
動揺した私は、なぜか「待てよ、アードベッグかも!?」と考えたようです。なぜそんな風に考えたのでしょうか……自分のことながら、さっぱりわかりません。
普段なら、こんなことはしません。私がプレッシャーに弱いこともあって、魔が差したとしか言いようがありません。たとえ答えがアードベッグだったとしても、それはたまたまですし、嬉しくないんですよね……。
受験される方は、くれぐれもお気をつけください。
まとめ
本番は「間違えたくない」という気持ちが顔を出すでしょう。また、答えを書いた後で「うーん、やっぱりこっちじゃないかな……」と書き直したくなるかもしれません。この部分は、個人差が大きいところですね。是非、ご自分の性格と行動パターンを考えてみてください。
ちなみに、出されたウイスキーを私は全部美味しくいただきましたが、ほとんど飲まずに解答されている方も多かったです。ウイスキーの場合は、口に含んだ方が色々な要素に気付けると私は思いますが、個人差があるでしょうね。是非、ご自分に合った方法を見つけてください。
では、今日はこの辺で失礼します。次回は、テイスティングの練習方法をまとめようかな、と思っています。
*1:サンプル番号がズレているかもしれません。