琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

マクファイルズ ピュアモルト 15年

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MACPHAIL’SPUREMALT SCOTCH WHISKY Years 15 old
・GORDON&MACPHAIL(ボトラーズブランド)
・ピュアモルト表記:(2011年以前のボトル)
・最低熟成年数:15年 
・アルコール度数:40%
・容量:750ml

【香り】

 甘い香りで印象としては黒砂糖。広がりは少なくドライな印象も受けるが、時間が経ってアルコール感が落ち着くと、レーズンやイチジクといったドライフルーツの香りとともに麦を感じさせる香りも出てくる。

 【味わい】

  口に含むとしっかりしたコクが感じられ、少し粘性も感じる。ただ、フィニッシュはスムース。最初はレーズンの香りが強いが、徐々に香ばしい麦感が出てくる。そのためか、甘みは広がっても鼻孔に抜ける感じは弱く、ベタつかない。余韻は結構ドライ。淡くピートも感じる。

 

 ……語彙の少なさに頭を抱えている真っ最中です。味覚を表現するのって難しいですよね。テイスティングホイールも見ますが、なかなか「これだ!」という感覚を拾えない時も多いです。どうしても「あ、美味い」になってしまいます。

 ちなみにGORDON&MACPHAILは蒸留所名ではなくて、老舗ボトラーズブランドの名前です。別項目で触れたので割愛しますね。よければご覧ください。

amberlover.hatenablog.jp

PURE MALT表記の年代について

 日本ではピュアモルト表記のウイスキーは現在も販売されていますが、スコッチの「PURE MALT」表記については2011年11月23日から禁止されています。

 "In other words, all labelling and packaging applied after 22 November 2011 must comply with all the new labelling rules."
「The Scotch Whisky Regulations 2009」
http://www.scotch-whisky.org.uk/media/12744/scotchwhiskyregguidance2009.pdf

  禁止になった経緯は2003年にさかのぼります。当時、「PURE MALT」と表記された、あるウイスキーが売られていました。

 そのラベルには1つの蒸留所名が書かれていて、ぱっと見はシングルモルトという印象を受けます。

 ところが中身はヴァッテドモルトウイスキー。要するに他の蒸留所のモルトウイスキーも調合されていたわけです。

 確かに「シングルモルト」とは謳っていないものの、同業者も含めて「紛らわしい」という声が高まりました。最終的に2004年に販売会社は「今後はやりません」と宣言しました。

The drinks giant Diageo has announced that it will no longer sell Cardhu Pure Malt, a mix of whiskies from more than one distillery.

BBC NEWS | UK | Scotland | Diageo admits Cardhu malt defeat

 ただ、この出来事はスコッチウイスキー業界を大きく揺るがし、「PURE MALT」表記は法律で禁止されることになったわけです。そのため、幸か不幸かスコッチウイスキーで「PURE MALT」表記がされていると、ある程度年代を絞ることができるというわけですね。

中身について

 先人たちの情報収集によってマッカランだろうという意見が多勢ですが、「違うかもよ?」という意見もちらほら見かけます。

 年代についてはPUREMALT表記なので1990年代だろうと推定できますが、『世界の名酒事典97年度版』に掲載があり、99年度版以降では見当たりません。やはり1999年より前のボトルだったのでしょうね。

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  同年代のマッカランは手持ちに無いので、サントリー酒類時代のマッカラン12年と飲み比べてみました。

 どちらもアルコール度数は同じ40%です。ただ、マクファイルズ15年のほうが香りも味わいも力強く、ほんの少しですがピートも強く感じます。その差は時間が経てば経つほど広がります。また、グラスに残った香りも現行12年と比べると強いです。

  意外に思ったのは、マクファイルズ15年は麦がかなり主張することです。もちろんレーズンなどのシェリー樽らしさも感じます。ただ、飲んでいるときはもちろん、余韻やグラスに残った香りも、麦が浮かび上がってくる気がします。

 ただ、「マッカランじゃなかったら飲まない」というのは、もったいないです。40%の度数についても賛否両論があるでしょう。味わいが失速する感じは無いものの、確かにフィニッシュはちょっとユルいです。

 でも、このユルさは、まったりしたいときにピッタリだと私は思っています。