琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

タリスカー 10年(現行品)

 

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Talisker AGED 10 YEARS
熟成年数:10年
アルコール度数:45.8%
容量:200ml
種別:シングルモルトウイスキー
地域:アイランズ(スカイ島)

【香り】

ほのかな潮。柑橘系のような爽やかな酸味を感じる香りのなかに、リンゴやオレンジのような温かみのある甘さも感じる。ピートも強く主張するが、クレオソートのような薬品臭はほとんど感じられない。系統としてはスモーク、燻製、焚き火といったスモーキーさを強く感じる。

【味わい】

口に含んだ瞬間、非常にパワフルなアタック、潮っぽさと黒コショウのようなスパイシーさ、煙るようなスモーキーさを感じる。ただ、すぐに甘みも強くなり、力強く暖かいモルティ―さを感じるようになる。

余韻は、輪郭がはっきりとしたスパイシーさと淡い甘みが混ざり合い、長く柔らかく続く。

ハイボールにすると、スモーキーさが強調されるが、バランスは崩れない。本格的に暑くなってきたこの時期に、ぴったりだろう。

【もう少し詳しく】 

「4000円未満で、ガツンとくるウイスキーで、あんまり薬臭くないやつない?」と訊かれたら、このタリスカー10年の出番でしょう。ジョニー・ウォーカーをはじめ、色んなブレンデッドウイスキーの原酒として使われています。

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私は今まで「タリスカーは嫌いなんだよね」と言う人に出会ったことがありません。みんな大好きタリスカーというイメージを持っています。

そんなタリスカーの場所は今さら言うまでもありませんが、スカイ島です。スペルはSKYではなくSKYEです。

さて、「クラシックモルトシリーズ」がリリースされたのは、今から月日をさかのぼること30年、1988年の話です。私はお酒よりもトカゲに夢中でした。

この時期はまだディアジオさんは存在せず、前身のユナイテッド・ディスティラリーズ社、通称UD社でした。

UD社といえば、『UDレアモルト・セレクション』と『UD花と動物シリーズ』の2つが有名です。

花と動物シリーズは、各蒸留所に関係する花や動物がラベルに描かれていることから、この名前が定着していますね。

アバフェルディはリスですね。プロフェッショナル試験にも出されたことがあります。

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カリラはアザラシ、ピティヴァイクは……ノロジカという鹿らしいです。

動物ばかりの紹介になってしまいましたが、ちゃんと花が描かれているボトルもあります。「へー、こういう立地条件なんだ」と楽しくなります。

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こうした花と動物はスタンダード品という位置づけだったのに対して、レアモルトはプレミアム品という位置づけだったかと思います。

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ただ、花と動物にも限定版があります。こっちはあまり見かけませんが、美味しいですね。このクライヌリッシュは、ヤマネコが「イエネコとは違うんだよ、イエネコとは!」と言っているかのように睨んでいます。

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さて、クラシックモルトに話を戻します。クラシックモルトは以下の6種類ですね。

ちなみに、ディアジオさんは現在、これら6種類に以下の3つを加えて、「お気に入りの1本を探してね」と言っています。

  • スペイサイド:グレンエルギン、モートラック
  • アイラ   :カリラ

malts.jp

 なお、上記ページではフレーバーマップ(香りと味わいの分布図)も公開されているので、是非ご覧になることをお勧めします。

タリスカーハイボールも美味しい。】

ところで、最近すごく暑い日が続きますよね。こんな日はガーっと飲んでぷはーっとやりたいものです。そうですね、ハイボールの季節です。

タリスカー10年のハイボールって、すごく美味しいんですよね。

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タリスカーは「タリスカー スパイシーハイボール テイスティングノートコンテスト」という企画もやっていて、優秀作は、こんな感じです。

グラスを口に近づければそこには、スカイ島の空、海、大地がすべてを包み込むように迎えてくれるような香り、突き抜ける島風、拡がる青空の下ハニースモークベーコンを噛る、それらが一体となり一気呵成に喉をかけ降りるような味わい

ブラッドストーンさん(50代・男性)

talisker-online.jp

詩的な文面に、タリスカーの特徴が見事に表現されていて、「なるほど、こりゃ優秀作だわ」と納得しました。

ちなみに、過去には面白い企画もやっていますよ。

talisker-online.jp

 【プロフェッショナル試験も絡めたテイスティング

さて、今回のタリスカーはWP試験の官能テストで出題されたことがあります。その狙いは、おそらくは「アイラモルトと区別できるか?」にあると思います。

WP試験では、基本的にスタンダードが出題されているので、タリスカー10年に辿り着く順番としては、こんな感じでしょうか?

  1. 外見:色合いは麦わらというよりも、ややゴールドに近い。
  2. 度数:粘性はやや強めで、度数も43%を超えている
  3. アタック:パワフル。スパイシーさも伴う。
  4. 年数:標準的。10年以上15年未満か?
  5. 種別:モルト
  6. ピート:しっかりと感じられる。
  7. 甘み:温かみを感じる
  8. 余韻:長め。スパイシーだがもルティーな甘さも感じる。
  9. 備考:スモーキーであるが薬品臭はほとんど感じられない。

私は、特に「9.」の「薬品臭」がポイントになると考えます。タリスカー10年の余韻に残るのは消毒薬のような香りではなく、焚き火や燻製といった、煙を想起させる要素だと私は感じます。あと、甘みも強いですね。

クラシックモルトではありませんが、上記リンク先のフレーバーマップで比較的近い場所に分類されるカリラ12年と飲み比べると、その差は顕著です。

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確かに両方ともパワフルですが、やはり薬品臭の強弱は顕著です。ただ、私の嗅覚が鈍感なだけで、タリスカー10年に強く薬品臭を感じる方もいらっしゃるかもしれません。

そのあたりも含めて、カリラ12年をまとめたうえで、タリスカー10年との飲み比べをまとめておく予定です。

それでは、今日はこの辺で失礼します。