レアード ローガン LAIRD O’ LOGAN(終売品、1970年代流通?)
LAIRD O’ LOGAN
DeLuxe SCOTCH WHISKY
アルコール度数:記載なし(43%か?)
容量:記載なし
最低熟成年数:記載なし
種類:ブレンデッドウイスキー
キーモルト:ラガヴーリン、グレンエルギン、(クライゲラキ(?))
【香り】
最初は少し埃っぽいような古酒らしさが目立つが、時間が経つにつれてスモーキーさが出てくる。薬っぽい香りも混じる。やや(輪)ゴムのような香りも感じるが、これについては保管状態によるかもしれない。
グラスに鼻を近づけて強く嗅ぐと、土っぽさのなかにカラメルのようなほろ苦さを感じさせる香りも拾える。
【味わい】
香りから想像するよりも、口当たりはまろやかで甘さが広がる。ただ、すぐにドライな味わいが広がる。水彩絵の具のような香りも少し感じる。穀物っぽさはあまり感じられない。モルトの含有率が高めか。
余韻は少し長めに感じる。舌の上に、ビターなピーティーさがじんわり残る。
【もう少し詳しく】
のっけから「アルコール度数と容量の表記無しっておかしいだろ!」と突っ込みが入りそうなんですが、すみません、本当に表記が無いんです。たぶん箱に書いてあったか、シールが貼ってあったのかな?と思います。
上の写真に書いてあるHKDNPは「Hong Kong Duty Not Paid」の略で、香港の免税店で購入されたものという意味です。そのため、特級表記はありません。このあたりについては、過去にまとめた通りです。
実は、このウイスキーは他のウイスキーを買ったときに「安くしておくから一緒に買わない?」と言われて買ったボトルです。当時の私は「ホワイトホースの絵が描いてあるけど、LOGANって何だ?偽物か?まあ面白そうだから買うか」と思っていたわけです。
偽物なんてとんでもなかったです。すみません。LOGANの由来はジェームズ・ローガン・マッキー、創始者ピーター・マッキーの叔父さんの名前です。LOGANはホワイトホースの上級品で、モルト含有率が高いそうです。*1
ホワイトホースのモルトといえば、やはりラガヴーリンですよね。ラガヴーリンは先日まとめましたが、そこではホワイトホースについて触れませんでした。
そこで、今回はちょっとホワイトホースとラガヴーリン、そして、他のキーモルトについてまとめておきます。
【ホワイトホースとラガヴーリン】
ピーター・マッキーが若いころに修業したのが、アイラ島のラガヴーリン蒸溜所でした。ここで、彼はウイスキーづくりを学びました。
さて、ご承知のとおりラガヴーリンは結構クセが強いです。これが主張するとブレンドとして成立しないので、ホワイトホースの場合は、ここにグレンエルギンとクライゲラキを混ぜているとのこと。*2
恐らく、ローガンにもグレンエルギンとクライゲラキを使っていたんじゃないかな?と思っています。
なお、構成比については1979年ぐらいのロットから味わいが変わったんだとか。この部分については、引用します。
(ホワイトホースは)1970年代までは日本でポピュラーになっているスコッチのなかでは、かなりのヘビー・タイプだったが、1979年あたりの輸入ロットから、グッとマイルドな味に変わってきている。
『世界の名酒事典"82-"83年度版』講談社 P60
【年代について】
さて、上で「ローガンはホワイトホースの偽物か?」と思った私ですが、Google画像検索で「ローガン ウイスキー」と検索して頭を抱えてしまいました。
著作権のこともあるので掲載しませんが、とにかくラベルがバラバラなんです。今回は、このように白い馬がプリントされています。*3
ところが、この白馬が無いボトルもあるんです。さらに、文字について着目すると、今回は「LAIRD O' LOGAN」ですが「LOGAN'S」というボトルや「LOGAN」だけのボトルもありました。
これについては一次資料が不明ですが、Web上の情報をまとめると
- 1960年代:LOGAN'S
- 1970年代:LAIRD O' LOGAN
- 1980年代:LOGAN
となるようです。*4
ただ、この年代のボトルの大きな特徴は、やたらと豪華なスクリューキャップです。文字なんかよりもはるかに存在感のある、金色のキャップ。
持ちやすくてありがたいんですが、そんなに豪華にしなくてもいいんじゃない?とも思います。
ただ、このキャップが年代チェックの決め手ともなっているようで、この豪華キャップがついたローガンは、どうやら1970年代前半のようです。
なお、この時期のスクリューキャップは回した感覚が、現代のものと異なります。現代のほうが回しやすくて快適なので、技術の進歩を感じることができます。
【スクリューキャップについて】
さて、このスクリューキャップといえばホワイトホース社です。ホワイトホース社は、1926年に初めてコルク栓に代わってスクリューキャップを発明しました。「最初にスクリューキャップを導入した会社は?」とか「ホワイトホース社がスクリューキャップを導入した年は?」という問題は、コニサー試験でも出るかもしれません。
スクリューキャップは便利です。そして、コルクが割れて砕けて裂けて散る可能性が無いので、開栓前の準備と緊張感が不要なわけです。安心して開栓できるのは、大きなメリットだと思います。amberlover.hatenablog.jp
実際、スクリューキャップを導入したことで、ホワイトホース社の売り上げは、6ヵ月で2倍に伸びたということです。*5
その一方で、コルクの方が雰囲気が出るという意見もあります。実際に、ワイン業界では「コルクが不便なのはわかってるけど、スクリューキャップだと雰囲気が出ないんだよね」という声もあるそうです。
ウイスキーの場合は笠付きコルクなので、ワインよりも楽といえば楽かもしれません。
【まあ、あまり難しいことを考えずに飲みましょう】
夏の暑さも峠を越えたとはいえ、まだまだ暑さが続きます。この時期はバーでもモルトの売り上げが落ちるのだとか。確かに、ちょっと冷たいものを飲みたくなりますね。
というわけで、オンザロックで飲むのも美味しいです。
もっと爽快感が欲しければ、ソーダを入れてシュワシュワさせて、ガーっと飲むのもいいですね。ほろ苦さがアクセントになって気持ち良いです。
そんなわけで、すっきりした気分で今回のまとめを書き終えました。では、本日はこの辺で失礼します。
【参考書籍】
『ブレンデッドウィスキー大全』土屋守 小学館
『世界の名酒事典"82-"83年度版』 講談社
『世界の名酒事典"84-"86年度版』 講談社
『WhiskyGalore Vol.05』 ウイスキー文化研究所