琥珀色の研究 -A Study in Amber-

( ・x・)<琥珀の沼で泳ぐ「ぱさぱさ」です。ご一緒にいかがですか?

【番外編】ショコラの会(前編)

【はじめに】

バレンタインデーが近づき、あちらこちらでチョコレートが売られていますね。限定イベントなども開催されています。

今年は大きなイベントに参加できないので、近場の百貨店でチョコレートを買ってきました。

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「男だけだと視線が気にならなって……」とお嘆きの方もいらっしゃるようですが、あまり気にされなくて良いと思います。

むしろ、ケガされないように気を付けてくださいすごい気合なんですよ。箱根駅伝のスタート前みたいな雰囲気です。ラバーズの行列の方が、よほど和やかです。

そんなわけで、性別とか気にされず、チョコレートを楽しまれてはいかがでしょうか?

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では、ショコラの会について書いていきます。

【去年のショコラの会について】

まずは、去年のことから。去年のこの時期には、おじさんたちと楽しくラムとショコラのペアリングを楽しんでいました。

去年のコンセプトは「色々なショコラとラムを合わせてみましょう」というものでした。デメルやレオニダスなど、様々な生産者のチョコレートを楽しみました。

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実に素敵なラインナップです。行列に並んだマスターが、顔面にエルボーをくらいながら購入してきてくださったのだとか。お疲れさまでした。美味しかったです。

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去年は、ラムと合わせようということで、いろいろなラムを用意していただきました。「何が何でもウイスキーじゃなきゃいけない!」ということでもないし、色々なお酒を試すのは良い事ですよね。

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ここには映っていませんが、コアントローも試しました。興味を持たれた方は、過去のまとめをご覧ください。

amberlover.hatenablog.jp

【今年のショコラの会について】

今年は少しコンセプトが変わり「産地ごとに異なるチョコレート×甘口のお酒」という内容でした。

用意されたチョコレートは「CACAO SAMPAKA」さんの「ラジョラス」というシリーズです。

ラジョラスは板チョコのシリーズで、一面フラットで暑さ5mm。口の中でゆっくり溶かしながら食べてください、とのことでした。

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shop.cacaosampaka.jp

CACAO SAMPAKAさんについては、去年の「アムールデュショコラ2018」でソフトクリームをいただき、とっても美味しかったです。

2種類食べたのですが、右側の写真のチョコレートの方が好みでした。溶けるのが早くて焦ってしまい、写真がブレてしまいます。

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今回は板チョコですが、全てカカオ分70%以上で乳成分を使用していないものを用意していただきました。

列挙してみます。パーセンテージ(%)は、カカオ分です。

  1. 71% エクアドル 
  2. 71% グレナダ 
  3. 71% マダガスカル 
  4. 71% パプアニューギニア 
  5. 71% ベネスエラ 
  6. 70% ラ ホヤ カカオ(メキシコ) 
  7. 70% リオ セコ(ホンジュラス) 
  8. 70% コンゴ 

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飲み物については、今回は甘口ワインが主体でした。

  1. グラン・トカイ・レイトハーベスト・フルミント・スイート(2016):ハンガリー(トカイ)
  2. セリエ・イヴクール・ソーテルヌ(2014):フランス(ソーテルヌ)
  3. セント・アーバン・トロッケンベーレアウスレーゼ(2016):ドイツ(ラインヘッセン
  4. エンリケシュ&エンリケシュ マディラ・フルリッチ:ポルトガル(マディラ)
  5. テイラー・ファイン・ルビー:ポルトガル(ドウロ)
  6. ゴンザレス・ビアス クロフト ペール・クリーム:スペイン(ヘレス)
  7. デュポン・カルヴァドス(1975年 over40YO)信濃屋創業85周年記念ボトル:フランス(ノルマンディー)
  8. デュポン・ポモー・ド・ノルマンディー リキュール:フランス(ノルマンディー)
  9. デュポン・VSOP:フランス(ノルマンディー)

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分かる範囲で、商品情報へのリンクを張り付けておきました。いくつか英語サイトがあるので、私のように英語が苦手な方は、Google翻訳を使うなどしてお読みください。

では、おおまかな感想を書いていきます。 

【チョコレートとの組み合わせについての感想】

マディラワインは、濃厚でぴりっとした苦味を感じるチョコレートとの相性が良かったです。

マディラワインはポルトガルのマディラ諸島で作られています。調べてみると、カンテイロやエストゥファなど面白い用語がたくさん出てくるのですが、ここでは端折ります。

サッカーのC=ロナウド選手の出身地で作られるD.O.Cワインということを覚えておけば、話のネタになります。

今回は抜栓直後ということもあって、醤油のような香りが感じられました。苦手な方もいらっしゃったのですが、私の隣の席の方が「オンザロックにしたら?」と提案されたところ、これが大正解。カラメルっぽい要素が前面に出てきて、とてもよかったです。ストレートにこだわる必要は無いですね。

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ポートワインについては、少しスパイシーな要素があるチョコレートとの組み合わせが気に入りました。

今回の組み合わせのなかでは、ポートワインが一番の好みだったので、ちょっと詳しく後で書きます。

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カルヴァドスについては、ライトローストのチョコレートとの相性が良かったです。

デュポンVSOPは非常に柔らかく淡い味わいだったので、チョコレートも円やかな感じの方が良かったのかもしれません。

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その一方で、over40yoについては、チョコレートと合わせることで本来の味わいが変わってしまいました。そのため、合わせる必要性が感じられませんでした。

何でもかんでも組み合わせれば良いわけではないですね。

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カルヴァドスでは無いのですが、「デュポン ポモー・ド・ノルマンディー リキュール」は、強く上品な甘さで、チョコレートと合わせるには非常に良いと感じました。

こちらは、マスターが「これもどうぞ」と追加してくださったのですが、良いチョイスでした。ありがとうございました。

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TBAのように濃厚な甘さのワインは、甘みを感じるチョコレートを口の中でしっかりと溶かして合わせると美味しかったです。

でも「TBAじゃなくて、アウスレーゼやベーレンアウスレーゼでも良いんじゃない?」と尋ねられると、確かにそうかもしれません。

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最後に、飲み口が軽く、上品な甘口ワインは、あまり合わなかったように感じました。ワインもチョコレートも単体で楽しんだ方が良いと感じました。

フレッシュな酸味とチョコレートとの組み合わせは、私はあまり好みではないようですね。

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【全体を通しての感想】

ワインもチョコレートも詳しいことを知らないので、用意していただいた資料を眺めていたのですが、途中から「まあ、細かいことはいいや」と思い、両隣の席の方と話しながら楽しんでいました。

帰宅してから調べると、ある程度のセオリーは存在しているようです。

www.suntory.co.jp

ただ、こうした食べ合わせは、やっぱり個人差が大きいと思います。セオリーは大切ですが、最後は身体で考えるというか、自分の感覚が一番大切だと思いました。

実際、好みのペアリングを両隣の方に伺ったのですが、三者三様でした。嗜好品ですし、「みんな違ってみんないい」で良いんじゃないでしょうか。

企画していただき、ありがとうございました。

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【ポートワインについて】

今回、特に組み合わせが気に入ったものは上述したようにポートワインでした。ポートワインはポルトガルの酒精強化ワインです。

細かな分類は、サッポロビールさんのサイトが分かりやすいです。

www.sapporobeer.jp

ご覧いただくと分かるかと思いますが、分類としては色々ありますが、アロマの傾向としては、こんな感じとのことです。

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『The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド』

著者 マデリン・パケット 、ジャスティン・ハマック 出版:日本文芸社

今回のポートワインは「ルビーポート」と呼ばれる一般的なものです。平均3年間の樽熟成後に瓶詰めされる、若いタイプのポートワインです。*2

今回用意していただいたボトルはスタンダードなものなので、手軽に買うことができます。

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ジャンルは酒精強化ワインですね。ブランデーを添加して発酵を止めています。そのため、ある程度は保存できます。

聞くところによれば、冷蔵庫で保管すれば1か月ぐらいは特に問題ないそうです。ありがたいですね。

【最後に】

本来であれば、ここで終わりなのですが「トカイワイン」が出てきました。トカイワインと言えば、私にとってシャーロックホームズの「最後の挨拶(His Last Bow)」を紹介せざるを得ません。

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「またホームズかよ、デュワーズのときに書いたじゃねーか」と言われそうですが、それはそれ、これはこれです。「最後の挨拶(His Last Bow)」は大好きな作品なんです。

ホームズがお好きな方は、デュワーズについて書いたものも読んでいただけると嬉しいです。

amberlover.hatenablog.jp

そんなわけで、次回はトカイワインとホームズについてふれていきます。「琥珀色から脱線ならぬ脱色してしまうなあ……」と思いつつ大目に見てくだされば嬉しいなあと思いつつ、本日はこのあたりで失礼させていただきます。

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【参考資料および参考サイト】

*1:これは去年の写真ですが、ディスプレイも面白いので列に並んでいても飽きませんでした。

*2:日本ソムリエ協会教本2018』出版:一般社団法人日本ソムリエ協会